天王寺瑚太郎の年齢算出に関する考察(Copywrite)

 

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天王寺瑚太郎の実年齢を分析・推論して求めてみる。

 Rewrite最大のトリックは、「主人公:天王寺瑚太郎が、実は相当な歳をいった大人である」という点であろう。だが、では実際に瑚太郎は本編、特に前半の高校生活編では一体何歳であったのだろうか。
 それを求める為に、Terra編を含めた本編中の描写から、分析と推論を積み重ねて行くことにする。
 それを行うにあたり、まず以下の前提条件を設定する。
  1. 本編中で、吉野は17歳、という事を基準点とする。
    (組織に関わっているわけでもなく、ヤンキーぶっているが成績は特段悪くない吉野は、普通の高校2年生であるとみて間違いない為)
  2. 吉野以外のキャラ(ヒロイン達)は、学年と年齢の一致を特に求めないことにする。
  3. Terra編で描写されている設定は、学園編に適用できるものとする。
    (年齢判定の手がかりは殆どがTerra編で書かれており、Terra編と学園編が全くの別世界だとすると年齢判定は不可能になってしまう)
  4. 資料集についているSSは、丸ごと無視する。
    理由は、Terra編の設定から算出したおおよその年齢とSSでの年齢設定が全く合わない(瑚太郎記憶喪失後小鳥と再会したときに制服がぶかぶかという表現があることから中1ということを表していると思われるが、Terra編から算出した値では小鳥が中学に進学した頃には瑚太郎はまだ海外赴任中であり、計算が合わない)ことと、そもそも内容的にも本編設定と矛盾する(例えば、小鳥の父親を通じて病院と話を~という表記があるが、小鳥の父親はこの時既に魔物であり人口無能並みの反応しか出来ないというのが本編での設定であり、完全に矛盾する)ということがある。この他にもおかしな点が多々あることから、このSSは全く参考にならない。

    (強いていうなら「本編とは別の、たくさんあった可能性の一つ」とも言えるが、どのみち年齢判定の材料としては使えない)

 これらの前提条件を元に、時系列で年代の古い潤から、年齢設定の手がかりとなる要素を追っていく。
1)瑚太郎が朱音と初めて出会ったときに、朱音の発言は幼児レベル。但し朱音は発達障害のため、一概に年齢判定できない。推定6~8歳くらいか?
 瑚太郎の正確な年齢も不明。ただし直前に、進学して、次の進学という発言があることから、中学生と断定できる。中2(14歳)くらいと見るのが妥当か?
2)瑚太郎と小鳥が初めて出会った時点で、小鳥は小学生。小鳥が受けた同級生男子からのいじめの性質から、小3くらい(8歳程度)か?(小1で跳び蹴りは無理。小2でも厳しい。)
 ちなみに、吉野とおぼしき小学生ともこの頃出会っている。
3)瑚太郎はガーディアン入りする前に江坂に「子供の家出なら」云々と言われていることから、18歳以下であることは間違いない。
 また、そもそも高校を卒業しているか卒業見込なら、進学するなり就職するなり、家を出る手立てはいくらでもあるはずで、わざわざ江坂に相談する必要が無い。よって高3という線はあり得ない。
4)項3と絡んで、瑚太郎と今宮は同い年であると明記されている。
 今宮を見たときに「中学の…」という表現を使っていることから、この時既に高校進学後であると推察される。項3の理由から高3の可能性は排除される為、高1か高2(15~17歳)ということになる。
 今宮が「進学後すぐのスポーツテストで~」と言っていることから、今宮のガーディアン入りは高1の時の話とわかるが、今宮がガーディアンの事情をある程度把握していることから、瑚太郎よりだいぶ前にガーディアン入りしていたとも考えられる。(むしろガーディアン入りしてすぐ訓練施設に行った瑚太郎がイレギュラー?)
 仮に瑚太郎高2,17歳としておく。
5)灯花の年齢は明記されていない。ただ、静流ルートで瑚太郎に20代後半と言われて「そう言っておくものよ」と答えていることから、学園編での実年齢はもっと上(30代)の可能性大。少なくともそれに近い歳と考えられる。
 ちなみに、訓練中にランクが下にも関わらずリーダーの今宮を叱りつけ、今宮も特に反抗していない事から、年上である可能性が高い。
 尚、訓練中に高卒資格が欲しいと言っていることから、この時点では高校は出ていない。が、訓練終了後音大に入るまでそんなに時間がないことから、高卒資格を得る為の単位はかなり取っていた(高3で中退した)と考えられる。
 以上を考慮して、瑚太郎・今宮より2歳上(瑚太郎と会った時点で19歳)としておく。
6)瑚太郎の訓練終了時点で20歳と明記されている。<確定事項>
7)朱音と再開した時点で、やはり朱音の年齢は明記されていない。
 ただ、この時点での吉野の年齢(9歳?)を考えると、学園編まであまり年数がない。
 ここから逆算すると、朱音は最低でもこの時11歳。1年前から施設がマーテルから受けている厚遇ぶりから、この時既に加島桜の後継者として見いだされており、そう判定するに足る年齢にはとうに達していたことを考えると、もう少し上と考えるのが妥当か。
 尚、小学校低学年という表記が出てくるが、これはいくら何でもあり得なさすぎる(吉野より年下という事になってしまう。また、朱音との初対面から最低でも5年が経過しており、これを考えても小学校低学年は絶対にあり得ない)。精神だけで無く体の発育も異常に遅く、外見から瑚太郎が主観で勝手にそう思った、と判断するのが妥当か。そう考えると、朱音の外見は実例より4歳程度若い、ということになる。
8)ヤスミンは瑚太郎派遣中に小学生。但し日本の学制はそのまま適用できない上に、難民キャンプであることを考えると、日本の小学生よりは少し上か。少なくとも将来設計がちゃんと出来る年齢。この時点で13歳くらいか。
 これが、瑚太郎が派遣何年目の時の話かは不明。ただこの後任務を続けながらヤスミンと連絡を取り合って動いている描写があるため、赴任して間もない頃の話と見るのが妥当。
9)瑚太郎が海外赴任していた期間は明記されていない。が、魔物使いの子供を保護してヤスミンの元に送り届けて…という過程を考えると、1,2年で終わったとは考えられない。
 また、その間に灯花が学校(後に正規採用で音楽教員になっており、その為には音楽の高校教員免許が必要なことから、音大と見て間違いない)を出ている事から、最低でも4年が経過している事になる。
{教員免許はガーディアン側で偽造したとも考えられるが、正規の採用試験に合格→教員の職務をこなす為には、結局相応の教育を受けることが必要。偽造がバレるリスクを考えれば、普通に大学に通わせた方が得策である}
 大学入学は父親のコネ(灯花の父親は教区系のガーディアン幹部)と考えられるが、瑚太郎帰国時点で既に卒業して年月が経っている様子であり、訓練終了後から5年は経過していると考えるのが妥当…ではあるが、この時点で算出される小鳥の年齢を考えると無理あり(但し小鳥の年齢はそもそも無理ありすぎではある)。
 以上から、帰国時点で瑚太郎は24~25歳と考えられる。小鳥は最低でも中学生になっていなければおかしい。計算上は高校生になっていてもおかしくない…がさすがにそれは無理あり(そもそも学園編が成立しなくなってしまう)。立ち絵からは小学生に見えるが、計算上あり得ないし、いたるマジックと解釈するしかない。(そもそも、CGを年齢判定の手がかりにするのは危険。)
10)瑚太郎帰国後本編時間までは、吉野暦を考えると4年しかない。
 本編では江坂が異様に老け込んでいるが、瑚太郎のガーディアン入りから起算すると11年経っているので、それを基準にすればそう無茶な話でもない。帰国後の立ち絵は発注漏れとみなすしかない。
11)静流は、監視要員としてガーディアンから風祭学院に送り込まれている立場なので、本編時間での学年は全く当てにならない。
 ガーディアン入りした正確な年齢も不明。ただ、静流ルートでの言動から、そんなに幼いわけではないと推察される。小5,6~中学生くらいか。
 どのみち、吉野歴からの逆算から、瑚太郎と会った時点で最低でも11歳以上でないとおかしい。
 静流が江坂に預けられていた時期は明記されていないが、「まだ年端もいかない子供なので本格的な訓練開始までは江坂が預かっていた」と考えるのが妥当。その後、大学を出た灯花に訓練を任せた、とすると話の筋は通る。ただ、江坂が一線を引いた後でないと静流を引き取るのは難しいので、瑚太郎の海外赴任中に静流はガーディアン入り→江坂じいと暮らしだした、と考えられる。
 尚、ガーディアンでの年数では遙かに先輩であるルチアと対等に話している(むしろ説教している)事から、ルチアと同い年かそれ以上と考えられる。少なくともルチアより3つも4つも年下とは考えられない。
12)ルチアはラストで小鳥に「あんたと同い年だよ」と言われている。
 静流同様、監視要員として送り込まれている立場なので、学年と年齢は必ずしも一致しない。
 アサヒハルカの噂を吉野が知っていることから吉野と同年齢であると勘違いしそうになるが、そもそも噂を振りまいた岸田は同じ孤児院にいたとあるだけで、ルチアと同い年であるという描写は無い。むしろ生存訓練の結果毒を生む体質になり、その後孤児院に入ったことを考えると、吉野より年上であると考える方が妥当。
 つまり小鳥も吉野より年上という事になる。
13)ちはやは過去に於いて他キャラとの関わりが殆ど無く、よって年齢判断の手がかりがない。
 これといった根拠がない以上、普通に実年齢に見合う学年で入ってきた、と考えるのが自然か。
以上を考慮して、年表を起こすとこうなる。
吉野歴元年 瑚太郎12歳 能力覚醒済み。
吉野歴3年 瑚太郎14歳 発達障害児の千里朱音(推定8歳)と出会う。
吉野歴4年 瑚太郎15歳 旭春花、人体実験に同意。コードネーム此花ルチアを名乗るようになる。
吉野歴6年 瑚太郎17歳 神戸小鳥(推定8歳)と出会う。また、吉野春彦(6歳)とおぼしき少年とも出会い、アウトローについて語る。

この年、瑚太郎家出を決意。ガーディアン入りする。中学で同学年だった今宮と再会。西九条灯花(推定19歳)と出会う。

小鳥、両親を亡くす。ドルイド契約。両親を魔物化することで生活を維持。

吉野歴9年 瑚太郎20歳 瑚太郎訓練終了、初任務。千里朱音(推定14歳)と再会。篝と遭遇。

瑚太郎、海外派遣を希望する。

西九条灯花(推定22歳)、音大に入る。

吉野歴10年 瑚太郎21歳 難民キャンプでヤスミン(推定13歳)と出会う。ヤスミンの仲間を虐殺してしまった自責の念からガーディアン脱走を決意。ヤスミン達を安全な都市に逃がす。所属部隊が全滅したことで瑚太郎の行動は上に知られる事無く不問となり、瑚太郎はガーディアンに残留。ヤスミン達への生活支援を始める。

中津静流(推定13歳)、江坂宗源に引き取られる。

吉野歴12年 瑚太郎23歳 西九条灯花(推定25歳)音大を卒業。高校教諭免許(音楽)を取得。
吉野歴13年 瑚太郎24歳 瑚太郎帰国。篝、神戸小鳥(推定15歳)と再会。

西九条灯花(推定26歳)、中津静流(推定16歳)の教育係に任じられる。

瑚太郎、静流と出会う。

瑚太郎、森で事故に遭い記憶を喪失。瀕死の重傷を負ったところを小鳥に助けられるが、篝の体組織を埋め込まれたことで肉体が異常化、年齢逆行。

吉野歴14年 瑚太郎25歳 瑚太郎入院生活。神戸小鳥(推定16歳)の動向は不明。ドルイド活動をしつつ瑚太郎の看病をしていたか?
吉野歴15年 瑚太郎26歳 瑚太郎、神戸小鳥(推定17歳)に交際を申し込むも断られる。

千里朱音(推定20歳)、マーテル傘下の風祭学院で暮らし始める。

吉野歴16年 瑚太郎27歳 瑚太郎・神戸小鳥(推定18歳)・此花ルチア(推定18歳)・吉野春彦(16歳)、風祭学院に入学。
吉野歴17年 瑚太郎28歳 西九条灯花(推定30歳)、風祭学院の音楽教師として採用される。中津静流(推定20歳)、風祭学院に入学。

鳳ちはや(推定17歳)・鳳咲夜、風祭市に転入。ちはや、風祭学院に転入。

千里朱音(推定22歳)、瑚太郎をオカルト研究会に誘い込む。瑚太郎、女子4人と吉野を巻き込む。

 また、年齢計算表を以下に提示する。
吉野歴 瑚太郎 小鳥 今宮 灯花 朱音 ヤスミン 静流 ルチア ちはや
   1   12
   2   13
   3   14   8    5
   4   15   9    6
   5   16  10    7
   6   17   8  17  19  11            8     瑚太郎家出
   7   18   9  18  20  12    13    9
   8   19  10  19  21  13    14   10
   9   20  11  20  22  14    15  12   11     瑚太郎訓練終了
  10   21  12  21  23  15    16  13   12
  11   22  13  22  24  16    17  14   13
  12   23  14  23  25  17    18  15   14
  13   24  15  24  26  18    19  16   15 瑚太郎帰国
  14   25  16  25  27  19    20  17   16
  15   26  17  26  28  20    21  18   17
  16   27  18  27  29  21    22  19   18 瑚太郎高校再入学
  17   28  19  28  30  22    23  20   19   17 学園編
 改めて、「天王寺瑚太郎の学園編での年齢は、28歳である」と結論を記しておこう。
 表を見れば一目瞭然なので改めて説明するまでもないが、瑚太郎と小鳥の年齢差は犯罪レベルである。とはいえ、小鳥自身も既に成人目前なので、社会的には何とか許容されるレベルか。
 灯花30歳というのは、項5で説明してあるように、初めにこの年齢ありきで計算しているので、どうしようもない。実際計算してみて全く無理がなかったことにむしろ驚きなくらいである。ちなみに、瑚太郎との年齢差的にカップルとして一番お似合いな組み合わせであり、実際静流ルートで少し瑚太郎に未練があるかのような発言もあったが…。
 朱音22歳という結果は、なかなか興味深い。実際、朱音編では学園編から1年あまりでマーテルを制圧、その後マーテル代表として全国を飛び回っているが、もし未成年だったらそううまくはいかないはずである。(聖女会が認めても洲崎派が認めないだろうし、それ以上に一般市民は認めないだろう。)ただ、これだとTerra編ラストで既に18歳に達していることになるが、項7での朱音の外見は実齢より4歳若いという結論を適用すれば、外見は14歳に見えることになり、さほど不審ということはなくなる。学園編でも、22歳から4歳若く見えるなら18歳に見えることになり、高3として外見的に何の違和感もないことになる。
 ヤスミンは学園編に全く関わりが無いが、敢えて年齢を算出してみた。朱音と大して変わらない歳であるが、日本の常識からいえばとうに大人である(荒野草途伸が23歳の時はまだ大学生だったが…)。もし学園編に登場させるとしたら、腕利きの情報技術者としてどこかしかに招聘されて来日、ということになるだろうか。ただ、若返った瑚太郎に気づくことが出来るかどうか。瑚太郎への想いは相当強かったようだが…。
 静流20歳というのは、外見的には無理があるが、内面的には瑚太郎やルチアと2人だけになったときに途端に大人びた話し方に豹変する事を考えれば、まあ納得である。外見については、静流の薬物生成能力でコエンザイムQ10が大量生成されていた、とか考えれば済む。
 ルチア19歳というのは、項12から導いた数字である。それにしては幼稚な行動を取ることがある(20軒ものガラスを割って回るなど)が、しかし仮に17歳だとしてもどのみち幼稚な事に変わりは無いので、まともな生活を送って来れなかったルチアの人格の一部だと割り切るしかない。ちなみに静流と違ってルチアは瑚太郎の実年齢を知らないはずなので、ルチアは瑚太郎のことを年下と認識していた(実際には瑚太郎の方が犯罪レベルで上)という、少々おかしな話になる。
 ちはやだけ普通に17歳というのは仲間はずれな様な気もして可哀想であるが、年齢をいじる根拠が無い以上どうしようもない。海外を含め各地を転戦してきた→結果的に留年、という線は考えられなくは無いが、そんな描写はどこにも無い。ちなみに瑚太郎との年齢差は11歳と、犯罪レベルMAXである。咲夜が悪態つきたくなる気分もわかるというものである。
 尚、津久野(長居)が学園編で「24歳」と称しているが、逆算すると訓練開始時に13歳という事になり、少々無理がある。普通に2~3歳サバを読んでいたと判断し、計算要素からは外した。
 以上。
 ていうかさー。「訓練終了時に20歳」ってなっているのが、計算を破綻寸前に追いやってくる一番の要因だった。もう少し若い年齢で訓練終了してれば、切り捨てた要素もかなり取り込めたのに。よりによってここだけしっかり明記してあるって、どういうことだと。

 

 

書き換えることが出来るだろうか。鍵の、その運命を。(Copywrite)

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書き換えることが出来るだろうか。鍵の、その運命を。


 

 

 Rewrite、ようやく一通り終わりました。

 どうも、まだ埋め切れてないルートがあるっぽいけど、主要な部分はどうやら全部やったみたいだし、とりあえず夏コミ前に感想を上げておきたい、という事で。て言うか、今年の夏コミ、どうしようかなー。行きたいけど、あれもの凄く疲れるし、今年は行けないだろうと思ってカタログも買ってないし。

 

 横道から戻って、Rewrite談続行。

 発売日発表と同時に予約、震災を口実にした発売延期を経て6/24の発売に入手、すぐにインストールしたRewrite。なのだけど、なんか妙に時間が無くて、結局本格的にやり始めたのは7月中旬になってから。一番最初にクリアしたルチアルートに費やした時間から計算して、遅くとも発売1ヶ月以内(7/26)までには終わるだろうと思っていたら、ルートによって分量がまちまちで、しかも「やっと終わりが見えた…」と思ったらまだ延々続いてゲンナリしてやる気が無くなることもしばしば(とくに、ちはやルートと静流ルート)。

 結果、この時期にやっと終わる事に。て言うか、幸か不幸かたまたま8月が時間空いてしまったので、Tera編を一挙にやり終え(いや正確には、読みづらくて投げ出した日もあるから、一挙にでは無いのだが)る事が出来ましたが、何か選択できない選択肢がいっぱいあったからそれはどうやって回収するのかしらんと思っていろいろやっているうちにさらに1日潰れてしまった。(結局、これは選択できない仕様らしい。もう、意味がわからん。)

 とにかく。「疲れた…」というのが第一声です。

 

 

 

 改めて、全体の感想を。

 まず、あらかじめ一言でこの作品を形容しておくと。

「劣化版禁書目録田中ロミオ風、一部素材にKey産のものを使用しております」

ってとこでしょうか。

 

 まず、前半の、個別ルートとも言える部分。正直言って出来はよくないです。5ルート全部終えた時点で、「さて、感想アップするときは、一体どんな言葉を使ってこき下ろしてやろうか」等と思っていたくらいです。

 小鳥ルートだけは、良かったなと思えましたけど。でも、これにしても、終わり方がなんか中途半端。「小鳥はメインヒロインだし、たぶん後半部分でいろいろフォローが入るんだろう」と思っていたら、そんなの無し。

 なんていうかね。「指揮官不在で各ライターが好き勝手に書いたものを、後から整合性取ろうとちょっといじくってみたりしたが、むしろ却って悪いものになってしまった」って感じなんですよ。大物ライター2人も引っ張ってきたのが、見事に裏目に出た、って感じですかね。この辺は、後で改めて書きますけど。

 

 とはいえ、後半のMoon編は幻想的な感じが良かったし、Tera編は、「ああこういう事だったのね」と納得させる展開になっていて、話自体は悪くなかったです。ただ、Tera編が、どういう意図があるのか知らないけど、テキスト表示形式が突然Leafのビジュアルノベルみたいな形になっちゃって、すごく読みづらかった。ぶっちゃけ、画面いっぱいに文章表示させたいなら履歴機能使えば出来るんだし、なんでこんな事したのか。

 

 あと、前半に戻っちゃうけど、マッピー超ウザい。マジウザイ。1回目進めてるとき(自分の場合はルチア攻略してるとき)は、まあまだ我慢できたけど、それ以降文章スキップしているときにマッピーが出てくると、もう「またかよマッピー糞ウゼェ!」と声に出して悪態をつかずにはいられなかった。

 て言うかさ。Keyは、こういう仕掛けとかミニゲームでプレイヤーに余計な進行妨害をさせない、て言うのがある意味売りの一つだったと思うんだけど。リトバスでも、ミニゲームはシナリオ進行には支障来さなかったはずでしょ。

 麻枝が指揮してれば、たぶんこんな風には作らなかったと思うんだけど。AngelBeats!で株大暴落したとは言え、やっぱりKeyには麻枝が必要なのか…と思わずにはいられませんでした。…とはいえ、麻枝にはちょっと一回本気で休んで欲しいですけどね。ハワイでもタヒチでもバリでもニューギニアでもいいから、とにかく静養できるところでゆっくり休んで欲しいですわ。沖縄でもいいですよ、豚足食えとは言わないから。つか、リトバス後、やっと休みを取ってくれたと思ってほっとしていたら、誰の命令か知らないけどAngelBeats!の仕事させられてたってんだから(て言うかこれ普通に労働基準法違反だよね)。ほんと、この後Keyをどう運営していくつもりだよ。

 

 また話が横道にそれたが。とりあえずRewriteを作品として総合評価すると。「合格点を与えられるかどうか、かなり微妙なところ」ってとこですかね。

 

 

 

 ここで、ちょっとRewriteの製作体制について、自分なりの考えを書いてみたい。

 ネットを見渡すと、どうやらRewriteは田中ロミオ作品、という風に位置づけている人が多いようで、事実シナリオの殆どを田中ロミオが手がけたんでしょうけど。個人的には、まずここが気にくわない。

 そもそもRewriteって、樋上いたる企画の作品ということで出発したはずなんですから。

 歴史と現状として、久弥が逃げ涼元が抜け、単身Keyを支えてきた麻枝は満身創痍で仮に復活できても数年先になるというのが、今のKeyの現実。そんな中、Keyの精神的支柱(と麻枝は語っていた)である樋上いたるが企画した作品が出る、ということで、「Keyではあるんだけど、今までとはちょっと違う新しい可能性を提示してくれる」と、かなり期待してたんですよ。

 ところが。蓋を開けてみたら、エンディングロールに示されているように、いたるは原案に後退。変わって、世界観設定という名目で田中ロミオの名前が前面に出ている。事実、作品内容は「何かの叩き台があったみたいだけど、それを田中ロミオが換骨奪胎して自分の作品に作り替えてしまった」というものになっている。

 シナリオ読んでて思ったんだけど。田中ロミオという作家は、確かに凄腕のライターだとは思う。けど、自分が1から作った世界観でなければ1行も書けない人なんじゃないか。という風に、自分は感じたんですね。事実、いたる企画の段階で明らかに核だったはずの小鳥について、全然掘り下げられていないし。ちょっとふざけんな、と言いたい。

 ぶっちゃけ、自分は田中ロミオは「何かよく知らないけど有名な人らしい」という程度の認識で、作品を読むのはRewriteが初めてなんですね。なので、全然期待はしていなかったのですが。こんな事されてしまうというのは、いくら何でもちょっと。ありえないです。

 まあ、田中ロミオがこういう条件で引き受けたのか、逆にVA側からそうしてほしいと依頼されたのか、そこはわかりませんけど。純粋培養の鍵っ子としては、腹立たしさを感じずにはいられません。

 

 ついでに、もう1人の大物ライターである竜騎士07について。まあ、なんというか、うまく逃げたな、という感じですね。

 2年近く前の雑誌インタビューで、竜騎士07が「自分の担当分はもう終わった」という事を言っていて、その時は単純に「竜騎士って仕事早いんだな」と思ったのですが。実際にRewriteやり終えてから改めて考えると、「彼は、Rewriteは迷走すると早期に看破していて、それで自分に依頼された最低限の仕事だけさっさと済ませて、あとは本来の自分の仕事であるうみねこ関係の作業に専念していた」って事なのかな、と想像してしまいます。まあ、商業ライターとしては正しいやり方ですよね。

 

 とにかく、こういうのはリーダーがしっかりまとめてればもう少しうまくやれていたと思うんですが。そもそもそのリーダー自体が存在しない、という異常な製作体制だったみたいですから。話になりません。

 本来なら、企画者である樋上いたるがリーダーやるのが筋なんですが、企画内容奪われてしまってまとめ役続けられなくなったのか、逆にまとめ役が務まらないから企画内容も奪われてしまったのか、その辺はわかりませんけど。でも、そういう事態に陥ったら、それは上がフォローしないといけませんよね。でないと、何のための会社組織なの?て話になりますよ。

 樫田や城桐クラスの外注使うならともかく、大物2人も引っ張ってくるなら、Key本体の体制も、不測の事態も想定してあらかじめしっかり構築しておかなければいけませんよね。それを全然やってないって、一体何なの? と、正直ビジュアルアーツの経営能力を疑いますよ。

 同人サークルじゃないんだからさ。

 

 

 

 さて。ちょっと書き漏らしてしまったので、もう一回Rewriteの作品本体に戻って。

 まあ、内容もちょっと良いとは言い難い(というより、統一感がない)Rewriteですが、それ以上に、細かい設定や品質の荒さというか不備が、あまりにも多いです。

 

 今までのKey作品では考えられないくらい、誤字や言葉の用法間違いが多すぎです。特に田中ロミオの担当分に目立ちます。いえ、これについて田中ロミオを責める気はありません。テキスト打ってれば、最高精度と言われるATOK使ってても誤変換は発生するし、言葉の意味を勘違いしてることだってあるでしょう。

 問題はむしろ、チェック体制の不備と言えるでしょう。QC(品質管理)に麻枝准が任命されていますが、その麻枝からして「こんな大物相手にチェックなんてできるわけない」何て言ってるくらいですから。麻枝はどこまで本気の発言だったかわかりませんが、他のチェック要員も同じような意識でいたとしたら、そりゃあミス指摘なんて出来ませんよね。結果、不具合だらけのテキストをリリースしてしまう。最悪のパターンですね。

 

 あと、設定の荒唐無稽さも目立ちます。一例を挙げれば、風祭市の都市構造。「作品のテーマ自体は、実は環境問題じゃなかった」とはいえ、風祭市自体は「環境緑化都市」という事で設計された都市のはずです。それなのに、鉄道の駅は郊外にしかなく市内路線も無い。これはまだいいとしても、にも関わらず高速道路は何故かしっかり整備されていて、その上をガソリン車が爆走している。

 …少しは勉強しろよ、ってさすがに言いたくなりますね。

 

 …いや、何かけなしてばかりですが。でもだって、特に取り立てて褒めるようなところが無いんだもん…。かと言って、駄作と断じきることも出来ないというのは、なんだか不思議です。
 要するに、「凡作」ってことですかね。

 麻枝准の手がけた作品は、名作か駄作かの両極端に別れるし、Kanonとクドわふたーは普通に名作なので、そういう意味では「Key史上初の凡作」ということになるのでしょう。…全然名誉でもなんでもありませんね。

 

 

 

 閑話休題として、ちょっと雑記を。

 前半個別、自分は、ルチア→ちはや→朱音→静流→小鳥の順で攻略したのですが。朱音ルートはちはやルートを、静流ルートは朱音ルートを終えないと解放されないので、自分の意志で順番が決まってるのはルチアと小鳥だけです。…まあ、この2人が希望通りの順番に出来たので、自分は文句は言いませんけど。

 

 ちなみに一番好きなヒロインは、西九条灯花です。…攻略できないからヒロインじゃない、って意見は、却下です。かつてKanonで香里派さらには北川派の闘士として戦い、リトバスでもEX発売前から佳奈多が一番だった自分にとっては、攻略可能の有無など、関係ないのです。

 攻略可能な5人の中では、ルチアか小鳥か…というのは攻略順の項の記述でもうおわかりいただけるかと思いますが。ところでルチアって、どう見ても川澄舞の互換キャラですよね。舞がヤンデレ化せず普通に成長してたら、たぶんこんな感じになってたんじゃないかと。あと、戦闘能力が高い(武器は剣)・特殊能力がある・黒髪ポニテと、無関係とする方が不自然です。まあ自分は舞は嫌いじゃないから問題無いんですけど。

 

 ところで、Keyはファンの半数近くは女性と言われるほど、女性の支持が強いブランドです。麻枝准がCLANNADは女性ファンも意識して作ったと明言していますし、AIRも、コミケでジャンルAIRでサークル参加しているのは全員女性という時期もありましたから、間違いないでしょう。だからこそ、Rewriteは同じ女性の樋上いたるを企画として起用した、とも考えられます。

 で、実際女性ファンから見てRewriteは満足だったか? というのは、正直わかりません。ダッテジブンオンナノコノトモダチイナイシ…。(いや正確には全くの0かというと嘘になるけど、全員非オタだからRewriteの感想なんて訊けるはずもないし)

 なので、あくまで推測でRewriteの女性受け要素を分析してみます。まず、男性キャラは、数だけは多いです。が、女性好みしそうなイケメン・美少年キャラは殆どいません。咲夜が超人級のイケメンですが、あまりにクオリティが高すぎて、正直浮いてしまっている気がします。何にしろ、1人だけというのバランスが悪すぎます。

 もう1人ショタ系美少年を入れれば一応最低限のラインアップは整うと思うのですが。残念ながらいません。おそらく、樋上いたるとしては主人公の瑚太郎をこのポジションに据えたかったのでしょうが、シナリオ展開的に無理ありすぎなので、断念したといったところでしょうか。それを念頭に改めて瑚太郎のキャラデザを見ると、その辺りの妥協というか葛藤の末生まれた顔つきだなーと、妙に納得してしまいます。

 ていうか、何でバトルものになんかしたの? 一体誰の指示? いたる企画の段階からそうだったの?

 

 ま、こんなとこで。

 

 

 

 さて。最後に、Rewriteの総括を一言で言い表すなら。

 

「戦犯は馬場社長。」

 

 理由は、この文書をもう一度読み返していただければ、自ずとわかるかと。

 

 

 

 とにかく。Keyは今、重大な岐路に立たされていると思いますね。

 現状考え得る最も現実的な方策は、何年かかるかわからないがとにかく麻枝の復活を待って、その間は樫田・城桐で繋いでいく、と言ったところでしょうか。…あ、でも樫田はなんか、税理士開業したらしいし。まあでも開業したてじゃ仕事もそんなに無いだろうし、今ならまだ1作ぐらいは受けて貰えるんじゃないですかね。

 

 起死回生の大技があるのなら、それに越したことはないですけど。

 

 

 書き換えることが出来るだろうか。鍵の、その運命を。

 

 

 

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「智代アフター」発表に関して [智代アフター]

「智代アフター」発表に関して [智代アフター]

 どっちのblogで書こうか迷ったが、どちらかというと一般人向けの「blog出張所」の方で18禁ソフトのことをあまり書くのもなあ・・・と思い、こっちで書くことにした。

 とまあ言い訳は置いといて、「智代アフター」製作発表。いや、ほんとに出すんだ。てっきり麻枝准のホラだとばっかり思ってたのに。

 というか、発表文書を見て気づいたこと。

原画が樋上いたるじゃない
シナリオも、麻枝准以外に樫田レオという人が入っている
タイトルに「CLANNAD」が入っているわけではない
登場人物紹介に、苗字がない
「ストーリー」の内容がCLANNAD本編と矛盾している(CLANNAD本編では、朋也は智代が卒業するまでの一年間、完全に距離を置いていた)

 ということから。この「智代アフター」なるゲームは、「何となくCLANNADっぽいけど実はCLANNADとは関係ない18禁ゲーム」なのではないか。という推測が導かれる。

 正直、「おいおい」という気分である。
 確かに、完全一般指定として出してしまって、和歌山県に広告にまで採用されてしまった「CLANNAD」というブランドに、今更18禁というレッテルを貼られるわけにはいかない、という商業的判断はあるのかもしれない。しかしならば、なぜこんな紛らわしい形に・・・? とも思うわけで。

 思うに、智代アフターはこういう経緯で発表に至ったのでは無かろうか。

  1. 当初は本当に、麻枝准お得意のホラだった
  2. 発売直後から葉鍵板などで朋也批判が噴出、次第にエスカレート
  3. 当初の葉鍵板での朋也批判の根拠は、智代との関係についてというところに集中していた
  4. 朋也のイメージを軌道修正させ、沈静化を図る目的で、ネタのつもりだった「智代アフター」を出すことに
  5. 当初発言で18禁と言ってしまったため、18禁で出さざるを得なくなる
  6. 和歌山県からCLANNADを観光宣伝に使いたいという話が舞い込む
  7. 販売戦略やブランドの路線方針も含め、内部で大激論
  8. 妥協の結果、CLANNADっぽい別物という形で出すことに決定、原画も差し替え

 という、まああくまで荒野草途伸の想像なわけだが。

 ところで、友人iAcnと会話していてもう一点気になったこと。
iAcn「 とも が気になるなあ(マイナスの意味で)」
xatosi「・・・まさか、『登場人物は全て18歳以上です』・・・か?!」

 ・・・まさかなあ。と、思いたいが。
 正直、Keyがそんな真似したら、もう応援する気には到底なれないぞ。いくらAIRの実績があろうとも。

 まあとにかく。自分としては、「智代アフター」は完全に様子見だなあ。つーか、買わない選択肢もあり得る・・・。

2005-04-28 02:06

岡崎朋也論 [CLANNAD-朋也]

岡崎朋也論 [CLANNAD-朋也]

 君は、岡崎朋也が好きか? 私は、微妙である。シナリオの行動そのままを字面通りに評価するのであれば、正直好きにはなれない。

 岡崎朋也という人物を一言で言い表すならば、「ヘタレ」である。「ヘタレという言葉の定義を知りたかったらCLANNADをやりなさい、その主人公がまさにそうだ」と言っていいくらいのヘタレである。
 CLANNAD学園編で朋也はしきりに親友の春原をヘタレ呼ばわりしているが、afterシナリオでは春原以上のヘタレっぷりを見せてくれる。ぶっちゃけた話、ヘタレ同士だからこの二人は気が合ったのだ、とも言えるだろう。
 そんな朋也が、私は気にくわない。

 では主人公がヘタレなのは嫌なのか、と言ったら、そういうわけではない。かつて、Kanonの主人公相沢祐一はヘタレだと主張し、ヘタレであって欲しいと願い、ヘタレであってくれなくては困るとまで言った、そんなイタい過去があるくらいなのだ。
 「ヘタレな主人公」そのものは、むしろ好きと言っても過言ではないだろう。

 では何故朋也だと気にくわないというのか。それは朋也が、度を超したヘタレだからである。
 私がヘタレな主人公が好きなのは、「ヘタレでもヘタレなりに一生懸命頑張っている」姿に好感を抱くからである。共感と言ってもいい。しかし残念ながら岡崎朋也という人物にはそれが感じられない、若しくは間違った努力をしている。そう思わざるを得ないのだ。

 その傾向が如実に表れるのが、after後半、汐編と呼ばれる部分での朋也の行動である。ざっとそのあらすじを書いてみると。

 朋也は渚と結婚し、渚はお腹に二人の娘、汐を宿した。だが元々体の弱かった渚は出産時に死亡。汐の養育を朋也に託す。だが朋也は悲しみに暮れるあまりその養育を放棄し、5年間汐と顔を合わせようとすらしなかった。渚の母親で朋也の代わりに汐を育てていた早苗は、そんな朋也の態度に業を煮やし、二人を朋也の故郷に旅行に行かせ、朋也の祖母に会わせることで問題の解決を図ろうとする。自分の父親が、自分同様早くに妻を亡くし、しかし16になるまで自分をしっかり育ててくれたことを知り、泣き崩れる朋也。朋也は汐を育て、これまで代わりに汐を育ててくれた早苗・秋生夫婦と一生家族でいることを誓う。
 だがそんな朋也の思いも、汐が発病することで再び狂いだしてしまう。汐が渚と同じ症状だと聞かされた朋也は、これからはずっと汐の側にいると心に決める。そして汐を看病するために、早苗の反対を振り切って仕事を辞めてしまう。経済的な余裕は無くなり、貯金も僅かになっていったが、しかし義父秋生からの経済援助は断ってしまう。冬になり、汐の症状は悪化していった。ある日朋也は、汐が一緒に旅行に行きたいと言っていたことを思いだし、汐を外に連れ出してしまう。雪が降り出し、汐は歩けなくなってしまう。そして朋也の腕の中で、汐は幻想を見ながら息絶えていく・・・。

 と、ここまで書く為にCLANNAD汐編を読み直していたのだが。ふと気づいたことがある。半強制的に見せられるものとはいえ、汐編はCLANNADの「バッドエンド」なのだ。そして、あとからプレイする際にこの汐編に入るためには、渚が死の淵を彷徨っている時に朋也が渚を「呼ばない」という選択肢を選ばなくてはならない。
 これが一体何を意味するのか。

 ここでCLANNADのテーマを思い返してみる。1に「街」であり、2に「家族」である。ここで言う街は無機質なコンクリートの固まりによる構造物の集合体のことではなく、そこに住む人達の共同体である、と解するべきであろう。つまり、街にしろ家族にしろ、「人と人との繋がり」というものが、CLANNADの究極テーマであると考えられる。
 さて。汐編での朋也の行動は、このテーマに沿っているだろうか。冒頭で渚を呼ばない。自身の娘を5年も養育放棄。汐発病後、勝手に辞職。秋生からの資金援助も拒絶。まさに、「アンチCLANNAD」とすら言える行動である。そしてこの汐編はバッドエンドなのだ。
 つまり結論を言えば。汐編の朋也は、反面教師なのである。「こんな行動を取ってはいけないよ」「こんな努力の仕方は間違ってるよ」という、作者(麻枝准)からのメッセージなのだ。

 そういう意味では岡崎朋也という人物は、主人公でありながらこんな損な役割をさせられている、大変不幸な人物と言えるかもしれない。こんなことで嫌ったりするのは、酷なことなのかもしれない。だがそれでも、私はこう思わずにはいられないのだ。
 「ああはなるまい」、と。
 
 
 2005-04-12 03:33