水瀬名雪様。
伝えたいことがあります。
貴女に初めて会った時。貴女はじっと目を閉じていました。ただ眠っているだけ、それに気づいたときそれが却って愛らしく思えて、貴女のことを見続けていました。
それ以来貴女の姿を目で追い続けていました。朝、髪をなびかせ校舎に駆け込んでくる姿。夕刻、結った髪で部活の友人に声をかける姿。昼食時、席が無くて戸惑っている姿。何度か席が一緒になったこともありました。最初の一回こそ偶然でしたが、その後は、貴女の友人に頼んで、来てもらっていたのです。
その友人から聞きました。ずっと想いつづけた方に失恋したということを。同じ恋をするものとしてお察しします。そして不躾で申し訳ないのですが、私では変わりになれないでしょうか
「いや、やっぱりこの下りはまずいかな」
「北川君、何書いてるの?」
水瀬の声。オレは、慌てて手紙を隠した。
「あっ。いや、これはその。」
「あ、見られたらまずいものだった? ごめんね、一生懸命何書いてるのかなと」
「いや、いいんだ。後で水瀬には見てもらいたかっしな。」
「そうなんだ。じゃあ、後で見せてね。」
添削ー、添削ー、と歌いながら去る水瀬。
それを見ながら、オレは呟いた。
「必ず、見せるからさ・・・」
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※執筆時期不明 「Campus Kanon」続編