「劇場版少女☆歌劇 レヴュースタァライトロンド・ロンド・ロンド」。元々、3月の公開されるはずだった映画が、世界的な疫病の蔓延の影響で8月に公開延期になった。おそらく夏公開予定だった新作劇場版は、2021年公開になった。
もし──予定通り3月に公開されていたら。「スタァライト総集編」(※通称ロロロ、品とも呼ばれる)の、この編集はあり得ただろうか。
この5ヶ月間で、編集や選曲に変更が入ったのでは無いだろうか。新作のストーリーも変わったのでは無いだろうか。もしそうなら、今年の頭までは存在した「選ばれなかった物語」が過去にはあった。のではないだろうか。
──というのが、「品」を2回見た上で、公開可能な範囲で言える感想である。
以降は、”ネタバレ”を含む為、観た人のみに読んで貰いたい。
さて。いきなりで申し訳ないが、劇場版TVアニメ版共通の感想を述べさせて貰う。
貴ー様ーァッッッッ!!!!
私は憤りを隠せない、今までこんな大事なことにも気づかなかった、自分に。
そう、TVアニメ版は徹頭徹尾どこまでも、愛城華恋の物語だったのである。我々は愛城の手のひらの上でコロコロ転がされていたのだ。無邪気に、無自覚に。
ひかりちゃんじゃない、華恋ちゃんだった。
みんなのキラメキを奪って、親友のひかりちゃんのキラメキすら奪って、一旦真矢クロでクレールフローラ役が決まっていたはずの第100回聖翔祭もひっくり返して、自分の望む舞台=ひかりちゃんとスタァライトする舞台を作り上げたのは、愛城華恋だったのだ。
ひかりちゃんかじゅんじゅんのどっちかが得るはずだった勝利権を飛び入りで奪ったのは、華恋。
ひかりちゃんが一生懸命積み上げた石塔をぶっ壊してたのは、赤い星のオブジェクト。つまり、ひかりの苦労を華恋がぶっ壊してる象徴。
なにが「わかります」、だ。全然わかってなかったよ。
いや、私の場合は、ひかりちゃんにばっか目がいっちゃってて愛城華恋がどれだけ危険な生き物かということに気づいてなかったという事情もあるのですけどね。ええ、わかります。言い訳にすらなっていないという事ぐらい。
その華恋の危険性にはっと気づかせてくれたのが、序盤の神楽vs星見のレヴュー対決に華恋が乱入するシーン。
TV版にはなかったのですけど、劇場版だと華恋がキリンの首に捕まってる1カットがあるのですね。もう、絵面的にすごいヤバくて一瞬ギャグかと思うようなカットなんですけど。愛城の危険性を観客に見せるのにはこれ以上は無い1カットだと思いますです。はい。
で、最終的にオーディションで優勝したはずのひかりちゃんの一人芝居にまた華恋が乱入して、お芝居を作り替えてひかりちゃんのキラメキを奪って、華恋とひかりちゃんでフローラとクレールを演じる第100回聖翔祭を手に入れるわけです。オーディション優勝者の権利として。
その過程を、大場ななの回想として語っている。というのが劇場版のラストまでの流れ。
なので、ななちゃんからしたら「ちょっと華恋ちゃーん!」だし、だからひかりちゃんと結託して華恋におしおきした。のが映画のラスト。なのかなあ。だから華恋あんなギャグシーンみたいな倒れ方してたのかなあ。
と、一回目を見終わったあとは、そう思っていたんです。
けど、落ち着いていろいろ考えたり、他の人の感想見たりしてるうちに気づいたんです。
あれ、本当に大場の仕業ですか?
なながスカートの中からボタンをバラバラ落とすから、みんな見事に(製作側の思惑通り?)大場なながまた残りの全員ブッ倒しちゃったのかと、そう思っていたのですが。
でもね。対戦レヴューの勝利条件って、ボタンを奪うことじゃないですよね? 前掛けが落ちたら負け、というルールですよね。
ななは、何の為にボタンをスカートの中にしまってたんですか?
という疑問が出てきたので、感想文は2回目見るまでは書くのはよそう、と決めたのです。
で、2回目観て確認したこと。
・華恋が倒れてるシーン、やっぱりギャグにしか見えない
・塔の上で倒れてる順序:ひかり、真矢クロ、双葉香子、じゅんまひばなな
・ひかりは倒れてるけど前掛けは落ちてない
・ばなながスカートからボタンを落とすときの服装は、制服。レヴュー服じゃない
いや、ひかりの前掛けは、これホント見落としだった。ひかりちゃんだけ前掛け青いから気づかなかった。
(前掛けが青い理由は、ひかりちゃんはオーディション2回目だからとかそんな理由だと思いますが)
で、なながボタンをしまってたスカートは、制服。いつもみんなと過ごしている、制服姿。そこに、みんなが「死せる舞台少女」となった証のボタンをしまっていた。
これでみんなを倒してたのが大場ななだったら、大場とんだサイコパスじゃないですか。…いや、実際ちょっとサイコパス気味なとこありますけどあの子。
でも、よしんばなながサイコパスだったら、ひかりちゃんの前掛けも落としてキラメキ奪ってるはずですよね。だって、ひかりちゃんも自分の舞台に欲しかったんだから。
でも、ひかりの前掛けは落ちてない。
で、私2回目見た後一日考えたんです。それでこの仮説を推すことにした。
華恋も、他の子達も、なな以外の別の誰かに倒されたのでは無いかと。
倒されて奪われた舞台を取り返す為に、(理由はわからないけど)前掛けを落とされなかったひかりと組んで、「再生」を始めることにした。その決意の証として、みんなのボタンをみんなといつも過ごしている制服のスカートの中にしまっていた、と。
…いや、なんでスカートなのかはこれではまだ説明がつかないんですけどね。でも、これくらいの理由がないと、大場とんだ変態じゃないですか。…いや、実際大場は変態ですけどね。
では。その聖翔99組を倒したのは、誰なのか。
それは2021年公開の映画で描かれる話なので、これはもうわかりませんね。
すごいどうでもいいことなんですけど、この台詞、例のあのアカン先輩の台詞に似てますよね。
※画像は無関係です。
そういえば劇場版公開初日に始まったスタリラのイベント、雪代晶と夢大路文の話ですね。でも関係あるのかどうかは、これはもうわかりませんね。
でも、新作劇場版にスタリラの3校が出てくる事は、PVで確定済みですよね。
それに、かれひかと真矢クロのレヴューデュエットのシーン。劇場版では、BGMが「Star Diamond」に変更になってるんですよね。Start Diamondは舞台#3の主題歌ですけど、この舞台#3は聖翔とシークフェルト・凛明館・フロンティアのオムニバス形式の展開だった奴ですよね。
つまりあのレヴューデュエットは、この先展開される4校の混戦の前哨戦、新作劇場版のプレリュードだと。そう製作陣は言いたいのでは無いかと。
え。てことは。
いや犯人晶だという証拠は何処にもないんですけど。
…なんか、「愛城華恋殺人事件」を語ってるみたいな文章になってきた。
あまり考えすぎると思考がどんどん物騒になっていくので、パンフレットの内容でも語りましょうか。
このパンフレットも、名古屋では初日の夕方に売り切れてしまって東京でも一部の上映館で品切れになって一時騒然となりましたけど。まあ、再販が決まったようなので。
【再生産総集編 グッズ情報🎁】
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド」
パンフレットは再販の予定がございます📚
販売再開まで今しばらくお待ちくださいませ🦒
※一部再販対象外の上映館がございますhttps://t.co/VkqmTXDwJy#スタァライト総集編公開 pic.twitter.com/hT1nv1pDMO— 絶賛上映中 少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド (@revuestarlight) August 11, 2020
ちなみにこの表紙絵の大場なな、華恋のスカート覗こうとしてるんですよね。わざわざ見えそうな位置まで体傾けてまで。
(一番最初に見たときは、すぐ上にいるひかりのスカート覗いてるのかと思っちゃいましたが、目線を追ってみたら華恋のスカートの中でした。)
最初に見たときは「大場、変態じゃん!」としか思えなかったですが。今改めて見ると、スカートの中からボタンが落ちるシーンへの伏線にしか見えないですね。あの頃には戻れない何も知らなかった日々。
パンフレット。中身は、99組メンバーが聖翔音楽学園に提出した入学願書です。
ええと、願書なのに志望する科を書く欄が無いですね。どういうことでしょうか? 聖翔音楽学園は俳優育成科と舞台創造科がある、という事になってる筈なんですが。志望時には一緒に入学試験をやって合格後に所属科を決める、という方式なんでしょうか。それとも、「そもそも『聖翔音楽学園には』舞台創造科なんて存在しない」という事なのか。
願書。
愛城華恋。
芸能活動歴、劇団アネモネ所属。これは7月頭にあった「オンライン舞台」でもちらっと言っていた気がしますが。具体的な経歴も書いてありますね。中1の時に主演2回もやってんじゃん。
私の従弟が大学中退して劇団ひまわりにいたことがあるんですけど。彼曰く、入るのは全然難しくない、でも役は全然貰えない、と。ましてや主役を張るなんて、相当な実力を持ってるって事ですよね。
でもその後2年間特に無し、と。何があったんでしょうね。何かがあったから、聖翔音楽学園に入ることにしたんでしょうけど。
中学は私立明郁学苑中学校。何となく名門っぽい名前だけど…私立中学って入試あるよね? 華恋、入れたんだ。
共学か女子高かは、名前だけではわかりませんね。けど、共学だとしたら。。。華恋のことだから、たくさんの勘違い男子を産みだしてきたのでしょうね。その男子達が、華恋が普通科では無く聖翔音楽学園に行ったことに納得できなくて、華恋の姿が描かれた発券済ムビチケ2枚購入しても、私は仕方のないことだと思うのです。わかります。
神楽ひかり。
聖翔では無く王立演劇学院への入学願書。うわぁ、全部英語だぁ。まあ、中学レベルですけどね。私でも読めるんだから。
”演技の前は役の事ばっか考えて周りが心配するけど、終わった後はいつも先生が拍手してくれます。”だそうです。大丈夫だよみんなひかりちゃんのことを見守ってるからね。
で、”悲劇も喜劇も全部演じて見せます”、ですか。ああ、だから、こんな台詞を…。
わかんないはずないんだよね、台詞も役も解析して全部理解するのが得意な子が、数字くらいでガタガタ言うはずないんだから。つまりこれは喜劇の演技。
天道真矢。
志望理由が、これ中学生の書く文章じゃ無いよ。同じ舞台は2つとない、まではまあ言うかもしれないけど、一夜の夢とか…達観しすぎでしょ。人生に於いて一度も挫折を経験しない人は滅多にいないと思うけど、天道真矢、貴女はいったい何歳で挫折を経験してそして乗り越えてきたの。
それとも…失恋でもしたんですか? この件、あまり深入りしない方が良いですかね。
星見純那。
九大付属長崎東中学出身。国立かー。長崎かー。いや、国立大付属の小中学校は大学と違って抽選で入るから、必ずしも優等生とは限らないんですよね。そうか、実力では無く抽選で入った「いいとこの学校」、か。それも純那にとっては不満だったのかなあ。
芸能活動歴、デパートのチラシのモデル。…あ、経歴あるんだ。8歳で舞台に興味を持ったのが他の人より遅い。そうなの? 普通、8歳で舞台を見る機会自体が無いと思うんだけど。
露崎まひる。
唯一経歴がTVアニメの中で明かされてる子なので、特に新情報はなし。畑で鍛えた腕力、ぐらいか。そういえばまひるの持ってる武器、重そうだね。
西条クロディーヌ。
コミック版「OVERTURE」でも一部過去が語られてるので、まああまり驚きは無し。リハウスガールとか「アリー」(アニー)役をやってたんですね。ところで今調べて知ったんだけど、天道真矢役の富田真帆って1997年にアニー役やってたんですね。というかWikipediaの愛称欄に裏切りの富田とか書き込んだの誰だ出てこい。
志望理由。まるでドラクロワの自由の女神のような文章ですね。将来は政治家ですか? アニー役の先輩である山尾志桜里の後に続きますか?
大場なな。
富山市立第七中学校。七森中では無くて。第七は大場ななをそのままもじってあるんだとして。富山出身かー。転校が多かったとあるので、ここが出生地というわけでは無いんだろうけど。
中学の演劇部で脚本12本執筆、うち1本が全国コンテストで優秀賞。完全に脚本家候補だよね。何故舞台創造科ではなく俳優育成科に入ったのか。そもそも聖翔音楽学園に舞台創造科があればの話だけど。
石動双葉。
京安女学院中等部出身。そう、忘れがちだが双葉も京都出身。それと、凛明館の巴珠緒とも旧知の筈なんだよね。オールスタァライトでは香子との絡みしか無かったけど。
志望理由が、最高の斬られ役を目指すこと。要するに香子の付き添いとしてきました、って事か。日舞全国3位を付き添い扱いとは、随分と大物ですなあ香子はん。
花柳香子。
まあ、随分と自信たっぷりの入学願書ですこと。しかしこの文章からは、傲慢さは感じられても怠惰さは感じられないんですよね。それがなんであんな怠け者になっちまったのか。というか、香子しょっちゅう眠い眠い言ってるんだよね。一般論で言うとうつ状態に陥ってるんですけどこれ。何があったのよ。
というか、再演再演再演と言うけど、同じ舞台は存在しないんだし「再演」するにはどっかからエネルギーを持ってこないといけないよね。時間巻き戻せばすむ話じゃ無いよね。
とまあ、9人分全員の入学願書をかいつまんでみたわけですが。これを見ると、オーディションに挑んだ9人の少女が、優勝してどんな舞台を欲しかったのかが、まあだいたい見えてくる気がします。
そう、「再生賛美曲」でもやたら強調される、選ばれなかった過去達=演じられたかもしれない、9つの舞台。それがここに書いてあるわけです。
宝物です、宝物ですよー、このパンフレットは!
オールスタァライト並みの設定集ぶりですよ、これは!
で、来年公開予定の新作劇場版。どういう内容になるんでしょうね。「特報」によると、華恋が自分を見失う感じの内容みたいですけど。特報というよりはロンドロンドロンドのラスト、って感じでしたけど、あれ。
「「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトロンド・ロンド・ロンド」を2回見た上での感想(※長文)」への1件のフィードバック