部屋のから物音がする。近づくとそこでは、ゆめみがうずくまり、スカートの中に手を入れて、はぁはぁ言っていた。
「どうした、どこかおかしいのか」
「あ、お客様。ただいま強制廃熱のためのセルフメンテナンス中でございます。ご心配をおかけして申し訳ありません。」
「強制廃熱?」
「はい。設計仕様の限界を超えた稼働や外部からの熱吸収が過剰になった場合、
内部部品を守るために強制廃熱操作を行う必要があるのです。」
言われてみると確かに、ゆめみの顔は持った熱のためか、赤く上気しているように見えた。
必要事項を伝えたゆめみは再びスカートの中に手を入れ、はぁはぁと息を吐き出すかのように、頭部からの廃熱を再開した。
スカートの中は見えないが、その中でゆめみの手は自らの股間をまさぐっているようにも見えた。
「その手は、一体何のためなんだ?」
「はい。強制廃熱操作を行う際には、服の内側の、足の付け根のスイッチを操作する仕様となっております。
このスイッチは通常の電子制御とは別系統で廃熱機構を動かす回路につながっています。
熱で電子系等が正常動作しなくなった場合でも、担当者が直接廃熱操作を行えるように、このような設計仕様となっております。」
顔を赤くし息を荒くしたまま、ゆめみはそう答えてくれた。
言われてみればゆめみは精密機械でもあることだし、そういう事も必要なのかと思えなくもなかった。
ただ。そういう俺の理性的な部分とは裏腹に、人として、男としての本能は、その言葉を素直に受け取ってはいなかった。
確かにロボットではあるが、しかし見た目は美しい少女であるゆめみ。その彼女が、
人で言えば性器に当たる部分を自らの手でいじり回し、顔を赤らめ、息を荒くしている。
本物の女というのはこれまで数えるほどしか会ったことはなく、ましてや彼女らと性的な交渉を持ったことなど、無い。
だから女の性的な行動というものは想像で推し量るしかない。だが、否だからこそ。
ゆめみのこの行為は、彼女が自らの手で、己の性欲を満たす行為をしている。そんな風に思えてきた。
そしてそんな想像は、否応なしに俺自身の性欲をも高め、次第に肉体的な欲望が思考を覆いだしていった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
ゆめみの声が、広いホールにこだまする。それはとても色っぽいもの、そういう風に聞こえた。
理性は浸食され、意味の無いものとなった。
俺はゆめみに抱きつき、その熱い体に自らの肉体をこすりつけ始めた。
「あの、お客様。いかがなされたのでしょうか。」
肉欲の果ての行動を前に、なお俺を気遣う発言をするゆめみ。愛しい。そう感じた。
だがそのわずかに残った理性故の感情さえ、もはや肉欲を増大させる要因にしかならなかった。
ベルトをはずし、ズボンを降ろし、普段排泄にしか使わない部位を取り出す。
それは堅く、今のゆめみの体以上に熱を帯びていた。
「お客様。こちらはお客様のものでしょうか。ひどく熱を帯びているように思われます。
差し出がましいようですが、廃熱処理が必要かと考えます。」
「ああ。だから今から、処理をする。ゆめみ、手伝ってくれ。」
そういって俺は、ゆめみの右手、スカートの中に伸びたままになっていた腕に手を添えた。
それに這わせるようにして、自らの手をゆめみのスカートの中に進入させた。
ゆめみの手が、ゆめみの股間に当てられている。それをそっと押しのけ、自らの手でその部位に触れた。
小さな突起に触れると、ゆめみが大きくため息をつくように、空気をはき出した。
「ああっ、はぁっ。」
俺の手はなおも股間をまさぐり続ける。その指先が、小さな穴を捕らえた。
そこに触れることで、俺の中に大きな安堵と満足感が拡がるのがわかる。
「あの。お客様、そこは。」
制止するようなゆめみの声。しかし俺はそれを聞かず、腕を少しだけ上げてゆめみのスカートをまくり、
露出させたままになっていた自らの部位を、その中に侵入させた。
そしてもう一方の腕でゆめみを抱きよせ、ゆめみの股間がその部位に当たるようにした。先端がゆめみの体を感じる。スカートの中の手を動かし、自らの部位を這わせ、穴へと導いていった。
敏感な先端が、くぼみの感触を捕らえる。
「お客様、申し訳ございません。そこは、そのような事をするところではございません。
そこは電源供給用ソケットでして、規格外のものを挿入すると双方に故障が発生する原因となり得ます。
どうかおやめください。」
しかし、今の俺にそれを聞く余裕はなかった。腰を浮かせ、ゆめみを抱く腕に力を入れて下に押した。
穴はとてもきつく、なかなか入りそうになかった。だが何度も力を入れているうちに、先端が入り、中程まで入っていった。
「お客様。お客様のなさっていることは大変危険です。
私の体の内部には、一部駆動系で1200Vの高電圧も使用されています。
お客様の挿入されているものは規格に合いません。
直ちに抜き取ってください。」
ゆめみの言葉は俺の耳に入らない。俺は渾身の力を込め、ゆめみの中に自らの部位を入れた。
それは、ついに最後まで入ってしまった。先端に、何かが当たる感触がした。
そのとき、先端に電気が走った。比喩ではなく、正真正銘の電気だった。
その一瞬は痛みすら感じず、ただ自分の部位がなくなったような感覚を覚え、そして激しい痛みが襲ってきた。
その痛みを遮断するかのように、俺の意識は遠のいていった。
虚ろな感覚の中に、ゆめみの声が聞こえた。
「お客様、お客様大丈夫でございますか。
ただいまのお客様の状態は、大変深刻なものと考えます。
早急に医療スタッフによる処置が必要と考えます。
ただいまサポートセンターに緊急救命コールを送り続けております。
ですが、先ほどから全く応答いたしません。
このような場合自律判断システムによる救急措置を行うことになっておりますが、
私の内部データベースにはこのような事態への対応が入っておりません。
データベースの緊急更新が必要ですが、それもセンターが全く応答しておりません・・・・・」
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※執筆時期不明