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久弥のはるちん

 
 
昔々駿府の殿様が名古屋まで遠乗りにやってきました。
 
すると、久屋大通の名古屋テレビ塔の下で、アヒョーとかウヒャーとか騒いでいる少女を見かけました。
 
大変興味を持った殿様はその少女を連れてこさせました。
 
「その方、名は何と申す」
「はっ。はるちんにございます!」
「はるちんとやら、その方何故アヒョーとかウヒャーとか騒いでおるのか」
「人生を楽しむ為デス」
「アヒョーとかウヒャーとか騒ぐのが人生を楽しむことなのか」
「わびさびですカラ」
「アヒョーとかウヒャーとか騒ぐのがわびさびなのか」
「東京スカイツリーばかりが注目される昨今、地上アナログ放送が終了しNOTTVの放送で辛うじてテレビ塔の名を保っている電波塔を、あえて祭の中心であるが如く盛り立て騒ぐ。これも逆説的なわびさびとは言えないデショウカ?」
「ふむ。面白いことを言う」
 
殿様ははるちんをすっかり気に入ってしまいました。
 
駿府に戻ってからも、殿様はことある毎にはるちんはるちん言うようになりました。
 
そんなある日、駿河のテレビ局が深夜アニメ放送をすることになり、大株主の殿様の元にも要望伺いが来ました。
 
殿様は言いました。
 
「余ははるちんを所望する」
 
しかし家臣達ははるちんを知りません。伝手を頼って調べまくった挙げ句、ようやくはるちんに似た少女を見つけ出すことが出来ました。
 
しかしこのはるちん似の少女、時々おべんとーとか作ってくれるのはいいのですが、愛想は無いわ罵倒するわで、殿様が欲しがっていたはるちんと全然違います。
 
辟易した殿様は家臣に訊きました。
 
「これ。このはるちんは、いずこの手によるものか」
 
「はっ。J.C.STAFFにございます」
 
「それはいかん。やはりはるちんは久弥に限る」
 
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