小春日和の午後
名雪「祐一、一緒に帰ろうよっ」
祐一「寒くなるから嫌だ。」
名雪「どうしてわたしと一緒に帰ると寒くなるの?」
祐一「なんとなく。」
名雪「うー、なんとなくじゃわからないよ。」
祐一「わかれ。」
北川「じゃあ、オレも一緒に帰るぞ。」
祐一「なんで!」
北川「なんとなく。」
こうして3人で一緒に帰ることになった。
3人が歩いていると、道の真ん中で巨大化したけろぴーが暴れていた。
けろぴー「わりゃー、わーのイベントCGもっとふやしたらんかい」
名雪「わ、けろぴーが暴れてる。」
祐一「身の程をわきまえないセリフはいてやがるな。」
北川「オレにすらイベントCGは無いって言うのにな。」
名雪「そんな言い方したら、、けろぴーが北川君以下みたいだよ。」
北川「それじゃまるで、オレがけろぴー以下みたいじゃないか。」
名雪「うん。けろぴー以下。」
北川「(涙)」
祐一「ということで、変身だ名雪!」
名雪「え?」
祐一「え? じゃない。自分の使命を忘れたのか!」
名雪「わたしの使命・・・」
祐一「そう。水瀬名雪、君の正体は、世界中の愛と平和と正義の為に戦うスーパーヒロイン、なゆちゃんエンジェルだ!」
名雪「天使はあゆちゃんなんじゃ・・・」
祐一「あゆはマイクロソフトに引き抜かれた。ちびまるこの次はあゆあゆなんだそうだ。」
名雪「そんな話聞いてないよ・・・」
祐一「そういうわけだから、変身だ名雪!」
名雪「わけわかんないよ。だいたい、オチが見えてるよ。わたしそんな恥ずかしいことでき無いよ。」
祐一「あ、そうそう、秋子さんからメッセージが届いてるんだ。読むぞ。」
秋子「名雪へ。今夜の夕食は『あの』ジャムですよ。」
名雪「・・・・・。」
祐一「わかったか。」
名雪「よくわからないけど、でも、わかったよ・・・」
祐一「よく言った。変身のポーズは、右手でフレミングの法則をしながら左手で直腸の辺りをさするんだ!」
名雪「そんな恥ずかしいこと出来ないよ・・・」
祐一「大丈夫、今なら誰も見てない。さあ、やるんだ。」
名雪「う、うん」
観衆1「おいっ、なゆちゃんエンジェルが変身するぞ。」
観衆2「なに!これは是非見ておかなければ」
観衆3「ヒロインの変身シーンってTVでは見たことあるけど、本物見るの初めてなんだよね。」
観衆4「この目でしかと見届けて、孫の代まで語り継ぐのじゃ」
観衆5「じいーっ。」
観衆6「じいーっ。」
観衆7「じいーっ。」
観衆8「じいーっ。」
北川「じぃーっ」
祐一「見てんじゃねえっ!」
北川「ほげしっ!」
名雪「祐一、やっぱりわたし、恥ずかしいよ・・・」
祐一「大丈夫だ、名雪。俺の目を見ろ。」
名雪「う、うん・・・」
祐一「俺の目は、もう曇ってしまっているかもしれない。でもな、そんな瞳の中にも、わずかに透けて見える部分があるだろう?それは、名雪。お前を思う心の部分の現れなんだ。」
名雪「祐一・・・」
祐一「今の俺は、何も出来ない。あの巨大化したけろぴーに大して、俺はあまりにも無力だ。でも、名雪が変身するとき、恥ずかしくないようにすることだけは出来る。約束する。」
名雪「・・・。」
祐一「だから名雪、俺を信じて、変身のポーズを取ってくれ」
名雪「・・・わかったよ。わたし、祐一を信じる。」
<変身ポーズシーン省略>
ずもももももももももも
名雪「な、なにこれ!わたし巨大化しちゃったよ!」
一同「おおーっ。」
観衆1「なゆちゃんエンジェルが変身したぞ!」
観衆1「ついについに変身したぞ!」
観衆1「いよいよ巨大けろぴーと対決するぞ!」
観衆1「相沢のお馬鹿な裸踊りなんて見てる場合じゃないぞ!」
祐一「よくやった名雪、俺はもう、思い残すことはない・・・ガクッ」
名雪「でもでも!わたし、制服のまんまだよ!このままじゃ戦えないよ!」
一同「・・・・。」
ずどどどどどどど
ぴたっ
一同(男)「おおーっ。」
名雪「な、なになに?!どうしてみんな、足下に集まってきてるの!」
観衆(男)1「オレ、オレ生きてて良かった・・・・」
観衆(男)2「やっぱ正義のヒロインはこうでなくちゃな」
観衆(男)3「神様ありがとう、ボクに幸せをくれて・・・・」
名雪「わ、だ、だめだよ!見たらHなんだよ!」
観衆(男)4「俺Hでいい・・・」
名雪「だめだよお!」
観衆(男)5「あ、スカート押さえちゃった」
観衆(男)6「大丈夫だ、仰角5°で高さ10mなら、87Cm以内に入れば有効範囲だ!」
名雪「うわー、ますます足下に群がってきたよっ。変な計算しなくていいよお!」
けろぴー「チャーンス」
けろぴーは放送禁止の踊りを踊った。
名雪「わー!だめだよけろぴー、そんな踊り踊ったら!」
けろぴー「悪いななゆちゃん、今度発売になるゲームボーイKanonのけろぴーシナリオでは、この踊りがメインテーマになるんだ。」
名雪「そんな予定聞いてないよ!」
祐一「そうだ名雪、そいつの言うことは真っ赤なウソだ。第一俺としては、けろぴーシナリオなど認めるわけには行かない。」
名雪「うん、そうだよね。」
祐一「だが、今の名雪の力でけろぴーを倒すのは難しい。そういうわけでパワーアップだ。」
名雪「パワーアップ?」
祐一「俺と合体だ!」
名雪「え?ゆ、祐一と合体?!そ、そりゃ、祐一がそうしたいって言うならわたしかまわないし、祐一がわたしのことそういうふうに思ってくれるっていうのはすごく嬉しいけど、でもここって外だし、それにみんなが見てるから、わたし恥ずかしいよ」
祐一「・・・なにを言ってるんだ?」
名雪「でもでも、祐一もやっぱり男の子だし、こういうこと大好きなんだよね。うん、わたしすごく恥ずかしいけど、でも、やってみるよ。」
祐一「よくわからんが、納得してくれたなら問題ない。ゆくぞ名雪、合体」
一同(男)「させるかあ!」
ぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこ
祐一「ふにゃあ・・・」
北川「なゆちゃん!どうせするなら俺と合体してくれ!」
男1「いや、俺とだ。俺と合体してくれよ!」
男2「いや、俺とだ!」
男3「俺と!」
男4「俺と!」
男5「俺と!」
男6「なゆちゃん!」
男7「なゆちゃん!」
男8「なゆちゃん!」
男9「なゆちゃん!」
名雪「うえーん、どうしてみんなして、よってたかって合体したがるんだよお、わたしどうしたらいいかわからないよ!」
香里「あーあ、泣かせた。」
一同「なーかせた泣かせた」
一同(男)「きーたがわが〜なーかせた」
北川「てオレかい!」
この間にもけろぴーは、口からケロを吐いたりといろいろ迷惑な行為を繰り返していた。
けろぴー「へっへっへ、ゲロとちゃいまっせ、ケロでっせ、それはもう不愉快なことこの上なしでっせ」
香里「わけわかんないわよ。」
祐一「というか、香里はいつの間にでてきたんだ?」
香里「相沢君はいつの間に復活したのかしら。」
けろぴー「青色レーザー特許乱戦デスマッチ!」
観衆1「ああっ、ますます訳わかんないこと言ってるぅ!」
観衆2「俺があ!俺の頭があ!俺達の理性があ!」
人々は混乱の渦の中にいた。
このまま世界は、けろぴーの混乱の渦に巻き込まれてしまうのか。北川の頭にそんな考えがよぎったとき
天空の彼方より、まぶしき光を浴びながら落下してくるものがいた。
舞「・・・。」
ザシュウウウッ
けろぴーはあっさり倒された。
けろぴー「ってこれかい!このパターンかい!」
舞「はちみつクマさん。」
けろぴー「こ、こんなベタでお約束な終わり方で、読者が納得するとおもっとるんかい!」
名雪「よくないよ!ちっとも良くないよ!なに、なんなの、いきなり現れていいとこ取りなんて!」
舞「・・・私は、公共の秩序を守るものだから。」
久瀬「ふ。君が言っても、全然説得力がないねえ。」
舞「ほざいてろ」
ばしばしばしばしばしばし
久瀬「うぎゃああ!」
名雪「うわーん、納得行かないよー、わたし見られ損だよー。一人で恥ずかしい思いして、バカみたいだよー。」
名雪は泣いていた。
とん
舞は名雪の肩に、手を置いた。
舞「・・・そんなことない。」
名雪「そ、そう?」
舞「・・・名雪は、いい囮になった。」
名雪「うえーん!」
祐一「舞、全然フォローになってない!」
泣き叫ぶ名雪。祐一は、それをなだめるのに四苦八苦していた。
群衆はそれを、楽しそうに眺めていた。
それをそっと見つめる香里。そして香里は、密かに後ろに立っている人物に話しかけた。
香里「これで、よかったんですか?」
秋子「そうですね。少し手違いはありましたけど、おおむね良好だったと思いますよ。」
香里「そうですか。」
香里はしばらく考えた後、再び秋子に問いかけた。
香里「ところで、秋子さん。」
秋子「なんですか?」
香里「このSSのタイトルって、『合体ロボット名雪ちゃん』でしたよね。」
秋子「ええ、そうですよ。」
香里「名雪って、ロボットなんですか?」
秋子「さあ?」
香里「さあって・・あなた、名雪の親でしょ?!」
秋子「気にしちゃダメです☆」
日はもう沈み始めていた。
寒空の冷気が、人々を覆い始めていた。
日系韓国人3世ノ=コマント