雪見「そうね。」
みさき「夏と言えば冷やし北川だよね。」
雪見「そうね。」
みさき「そういうわけだから、北川君を捕まえに行くよ。」
雪見「ちょっと待てい。」
みさき「なにかな雪ちゃん。」
雪見「なんであたしまで北川君捕まえなきゃいけないの。」
みさき「食べたいでしょ、冷やし北川。」
雪見「食べたくない。」
みさき「え? でも雪ちゃん、さっき食べたいって」
雪見「言ってない。」
みさき「雪ちゃんって、深山雪見だよ。片瀬雪希ちゃんのことじゃないよ。」
雪見「誰それ。」
みさき「誰でもいいよ。雪ちゃんは食べたいっていったよ。」
雪見「言ってない。」
みさき「いったよ。」
雪見「言ってない。」
みさき「じゃあ、16行巻き戻してみるよ。」
みさき「夏と言えば冷やし北川だよね。」
雪見「そうね。」
雪見「・・・・言ってないわ。」
みさき「言ってるよ。」
雪見「『食べたい』とは言ってない。」
みさき「言ってる意味は同じだよ。」
雪見「い、・・・・言って無いったら言ってないのっ!」
みさき「うー、見苦しいよ雪ちゃん。うそつきだよー、うそつき雪ちゃんだよー、うそついたらリポD千本飲ますよー。」
雪見「なんでリポビタンDなの。」
みさき「リポD千本で雪ちゃんもーれつファイトだよ。でも夜は寂しいから処理に困るんだよね。」
雪見「な・・・・!」
みさき「だから夜な夜な若い男を狩りにでてるんだよね。その腕を見込んで、是非北川君を狩るの手伝って欲しいな。」
雪見「な、何いい加減な事言ってるのみさき!」
みさき「千人力〜♪」
みさき「雪ちゃんだけじゃ不安だから、やっぱりもう一人仲間を増やしたよ。」
雪見「あたし、なんで結局仲間にされてるのかしら・・・で、仲間って相沢君?」
みさき「ううん。相沢君より見かけも頭も性格も悪いけどでもそれはちゃんとワケありなあたり相沢君よりましな、国崎徃人君だよ。」
徃人「・・・・・・。」
みさき「どうしたのかな?」
徃人「・・今のは・・・褒め言葉と受け取るべきなのか?」
みさき「もちろんだよ。」
徃人「・・・・・そうか。」
雪見「あんた・・・本気でそう信じてる?」
徃人「いや・・・」
雪見「・・・よね。」
みさき「それじゃあ出発だよ。つよいぞみーちゃん、たらららったらー!」
北川「うおおおおおおおおおおおお、あきこさまあ!」
名雪「いまこそNMD(Nayuki Misile Defences)の威力を試すときが来たんだよ!」
ちゅどーん
香里「家一軒守るのにミサイルなんか持ち出さないでよね・・・」
祐一「でも、守れてないみたいだぞ?」
北川「うおおおおおお! 今オレは愛の炎に燃えさかっているうううううう!」
名雪「そ、そんな・・・そう、そうだよね、所詮戦力で国を守るのには、限界があるんだよね・・・。わたしとしたことが武器の力に頼るなんて、愚かだったよ・・・」
北川「はっはっは、やっとわかってくれたんだねなゆちゃん。そうだよ、パパのこと拒絶するなんて、とても愚かしいことなんだよ。」
名雪「くうう・・・」
北川「それになゆちゃん、NMDの正式名称を間違ってるよ。いいかい、NMDというのはね、Nayuki Minase is Jun's Daughter の略なんだからね。」
名雪「やっぱりミサイル打ちたいよ・・・」
香里「どうでもいいけど、Jが抜けてる気がする。」
北川「それじゃなゆちゃん、また後でな。オレは秋子さまのところへ行くから。」
名雪「い・・・行かせないよっ!」
みさき「そうだよ、行かせないよ。」
北川「・・・げ。」
みさき「『げ』って何かな?わたしのこと嫌がってるみたいだね。ちょっと傷ついたよ。」
北川「だってあんた、またオレのこと喰おうとしてるんだろ?」
みさき「うん、そうだよ。」
北川「嫌がるに決まってるだろ」
みさき「・・・失礼だよ」
北川「人のこと喰いたがるあんたの方がよっぽど失礼だろ!」
名雪「違うよ。北川君は人じゃないよ。」
北川「なゆちゃん、なんてことを・・・」
雪見「悪いけど・・・今のあなた見てると、人じゃないと思えてくるわ。」
北川「み、深山さん・・・あなたはまともな人間だと思っていたのに・・・」
徃人「どうでもいいが俺は腹が減ったぞ。」
北川「あんたはさっさと自分の世界に帰れ」
みさき「ひどいよそんな言い方。今の国崎君は雪ちゃんと一緒にみさき姫のために働く優秀な騎士(ナイト)なんだよ。最強ゆきゆきコンビなんだよ。市田忠義もビックリだよ。」
香里「なんで市田忠義がびっくりすんのよ。」
みさき「そう言えば名雪さんもゆきゆきだね。いい機会だから、仲間に入ってゆきゆきトリオにならない?」
名雪「え? ゆきゆきトリオ・・・」
みさき「本当は片瀬雪希ちゃんも入れてゆきゆきカルテットにしたいんだけど」
雪見「だから片瀬雪希って誰。」
みさき「ね、名雪さん。仲間になって欲しいなあ」
名雪「うーん・・ちょっと慎重に考えてみるよ。」
シミュレーション。
ゆきゆきトリオ結成!→みさきちゃんのためにがんばるぞ!→みさきちゃんは北川君食べたーい!→食べちゃえー!→おいしかったよ→わたしはおいしくないよ→ついでに祐一君も食べたいな→食べちゃえー!→ブブー、却下→みさき祐一を食べない→でも食べたいな→そんなのゆるさないよ!→名雪の祐一を愛する心が光となってみさきを包み込む!→うう、わたしとんでもない間違いを犯すところだったよ→みさき改心する→ありがとう名雪、やっぱり俺には名雪しかいないよ→祐一わたしに愛と忠誠誓う→みさきがまともになってくれて良かったわ→雪見感激する→うん、まともになったからわたし北川君食べるの撤回するよ→みさき北川君吐き出しちゃう→北川君食べられたくらいじゃ平気→うおおあきこさま→北川君お母さんに愛を囁きに行っちゃう→ブブー却下→みさき北川君吐き出さない→うーなんだか胃もたれするよー→自業自得よ→胃薬ありますよ→ありがとう秋子さん→実はヂャムだった→みさきヂャム食べたくらいでは平気→でもここには二度と近づかない→北川君も二度と近づけない→わたしは祐一とラブラブハッピー→ピンポンピンポーン!!!
名雪「わかった。トリオ結成、だよ。」
みさき「やった。うわーい、これでやっと冷やし北川食べれるよ」
北川「食べれません。」
みさき「え、どうして?」
雪見「うーん、やっぱり今北川君ぼーぼー燃えてるからじゃない?」
北川「え?」
ぼぼぼぼぼぼー
みさき「うん、言われてみればそうだね。」
北川「うおおお、オレは、オレはいつの間にこんなぼーぼー燃えてるんダア!ああ、オタスケエ!何とかしてくれえ!」
みさき「うん、そうだね。私が食べたいのは北川の丸焼きじゃなくて冷やし北川だもんね。何とかしないとね。」
雪見「水でもかけてみる?」
名雪「化学消化剤でもないと消えないよ。何しろ北川君だから。」
徃人「フ・・・お嬢さん方、ここは一つオレに任せてはくれないか?」
みさき「わ、やる気満々。わかった、期待してるよ。」
徃人「では・・・お嬢さん方、メモのご用意を。今日のメニューは法術冷やし北川だ。」
徃人「法術冷やし北川は、なんと冷蔵庫の代わりに法術で北川を冷やすのだ。」
徃人「しゃきしゃきー、しゅきゃーん」
ぼぼぼぼぼぼぼー
雪見「全然冷えてないわよ。」
名雪「恥ずかしい効果音までわざわざ口で言ったのにね。」
徃人「当たり前だ。何故なら俺の力は、この人形を動かす以外能がないシロモノだからな。」
雪見「だったら最所から出しゃばったりしないでよ。」
徃人「つれないことを言うな、深山さんちの雪見ちゃん。」
雪見「なに言ってるのよあんた」
徃人「惚れたか」
雪見「惚れるかっ」
名雪「ね、ね。あの二人、なんだか仲いいね。」
みさき「うん。往人君はピンク頭に発情する体質だし、雪ちゃんは誰でも若い男を見ると発情するんだよ。」
雪見・徃人「するかっ!」
秋子「今日も・・外が賑やかですね。」
美汐「秋子さん・・・ピンク頭って、やっぱり一癖あって然るべき存在なんでしょうか?」
秋子「さあ、どうなんでしょうね。私もうすむらさき頭ですけど、特に癖者というわけじゃないですし。」
美汐「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうですね。」
名雪「そういえば。さっきから祐一と香里の姿が見えないよ。」
徃人「ん?あのいかがわしい男と老けた女のことか?」
名雪「・・・・・うん、そうだよ。」
雪見「自分の方がよっぽどいかがわしいくせに。」
徃人「それだったらさっき、二人仲良く家の中に入っていったぞ。」
名雪「え? なんだよそれ!ひどいよ祐一、『俺には舞しかいないんだ』とか言ってわたしのこと邪険にするくせに、香里とはしっかり仲良くしてるなんて!これじゃせっかくの壮大な計画もおじゃんだよ!うー、邪魔してやる!」
みさき「あ、名雪ちゃん、どこいくの?」
名雪「うちの中に戻るんだよ。戻って祐一を奪い返すんだよ。そういうわけだから、漫才トリオは解消だよ。元々わたしの柄じゃなかったよ。」
みさき「ゆきゆきトリオなのに・・・」
北川「そうかいなゆちゃん。じゃあ、オレと一緒にうちの中に入ろうぜ。」
名雪「こ・・・こないで!うちに入ってこないでよ!」
北川「なゆちゃん・・・キミは、まだパパのことを認めてくれないんだね・・・」
名雪「それもあるけど・・・・それ以上に、そんなぼーぼー燃えた状態でうちの中入ってこられたらたまらないよ!」
北川「え?」
ぼぼぼぼぼぼぼぼぼー
北川「ああっ、オレ燃えてるじゃん、火ついたままじゃん!ああ、タスケテクレエ!」
みさき「助けてあげるから、その代わり冷やして食べてもいいよね?」
北川「それって助けることになってないです・・・」
名雪「じゃあね、北川君。火ついたまま家の中に入ったらダメだよ。これは常識だよ。」
雪見「常識以前の問題な気がするわ・・・」
北川「ま、まってくれなゆちゃん!」
みさき「あ、そうだ。液体窒素を使えばいいんだよ、これを吹きかければ、火も消えるし一気に冷やすことも可能だよ。」
徃人「そんなものがあるのか?」
雪見「それがあるのよ。演劇部の大道具として確保しておいたつもりだったんだけど」
北川「液窒使う演劇って、どういう劇だよ・・・」
みさき「それじゃ雪ちゃん、お願いね。わーい、これで冷やし北川食べれるよ。最所の思惑とはちょっと違っちゃったけど、表面が焼けて結構いい感じになってるかもしれないよ。」
北川「ま、待って!食べないで! 火消してくれるのはいいけど、そのあと食べたりしないって約束して!」
雪見「あたしは約束するけど、みさきに関しては保証出来ない。じゃ、行くわよ」
北川「え、まって、まだ命の保証が!」
みさき「ロースト北川〜♪」
秋子「今日も平和ですねえ・・・」
美汐「そうでしょうか・・・?」
名雪「祐一、香里から離れて!香里も!」
祐一「だったら名雪も離れろよ」
名雪「いやだよ」
秋子「平和じゃないですか。」
美汐「そうですか。」
北川「あ、あきこさま・・・たすけて・・・・・」
秋子「あらあら潤ちゃん、来てたのね。どうしたのかしら、肩にみさきちゃんぶら下げて。」
北川「好きでぶら下げてるんじゃないです、かみついたまま離れないんです・・・」
みさき「あ、あいおあん。おうあいあいいああわあんえうよ」
秋子「まあ・・・潤ちゃん、痛くないんですか?」
北川「痛いです、だから助けてください・・・」
秋子「あらあらまあまあ・・・じゃあ、痛いの痛いの、・・・徃人さんに飛んでけ!」
徃人「・・・うおおおお、なんじゃこりゃあ、いきなり痛みが飛んできたぞお、いてえ、いってえ!」
雪見「あんたバカ?」
秋子「ほら。もう痛いのは徃人さんに飛んでったから、潤ちゃんは痛くないですよ?」
北川「はい、痛くないです!」
雪見「バカがもう一人・・・」
秋子「でも、いつまでも噛みついたままじゃ困りますね・・・みさきちゃん、潤ちゃん離してあげてくださいません?」
みさき「えお、おいいいねうよ。いぃいぃ。」
秋子「困ったわねえ・・・。じゃあ、こうしましょう。潤ちゃんの代わりに、祐一さん食べてもいいですよ?」
名雪「え?! な、なに言い出すんだよお母さん!」
みさき「祐一君ですか? まずそうだからいいです。」
北川「よっしゃ口離れた!今のうちに、秋子さまああ!」
ひしっ
秋子「まあ、潤ちゃん・・・」
北川「秋子さま、あなたは本当に美しい・・・」
名雪「うわーん、結局北川君お母さんに愛語ってるよー」
香里「相沢君、この間貸した5千円なんだけど・・・」
祐一「香里様、拙は一生ついていきやすぜ、あ、肩にゴミが」
名雪「しかも祐一は香里に忠誠誓ってるよー、なんでこうなっちゃうんだよー、計画と全然違うよー!」
みさき「名雪ちゃん。」
名雪「うっうっ、みさきさん・・・」
みさき「大丈夫、私たちがついてるよ。今回は失敗しちゃったけど、手を取り合ってがんばっていけば、いつかきっとうまくいくときがくるよ。」
名雪「う、うん。」
みさき「北川君食べるその日まで、がんばろうね。ほら、雪ちゃんも協力するって言ってるし。」
雪見「言ってない!」
みさき「それじゃ、新たなる目標達成のために、夕日に向かって走るよ。」
名雪「うん、走るのは大好きだよ。」
雪見「ちょっと、なんであたしまで走るのよ!」
みさき「みんな仲間だからだよ。往人君も一緒に走るよ」
雪見「あんた、本気で走ってる?」
徃人「ヤケだからな。」
雪見「・・・よね。」
みさき「北川君食べるその日まで、がんばるぞー!」
名雪「おー!」
徃人「おー」
みさき「雪ちゃん、声出てない!」
雪見「おー!」(泣き)
名雪「ふぁいとっ、ふぁいとっ!」
みさき「おー!」
美凪「・・・まあ。賑やかな方達。」
おしまい