吏官2「逮捕します。」
北川「な、なに?!何で俺が逮捕されなきゃならん。」
吏官1「あなたの存在は電波法に違反しています。」
吏官2「電波法違反です。」
北川「何で俺が電波法違反なんだよ。」
吏官1「違法な電波を出しているからです。」
吏官2「無許可発信は違法です。」
北川「電波なんか出してないっちゅーに!」
吏官1「電波は限りある資源です。」
吏官2「公共のために使われるべきです。」
北川「人の話聞けよおい。」
吏官1「6月1日は電波の日〜♪」
吏官2「ららら電波の日〜♪」
北川「6月1日とっくに過ぎてるじゃん!」
吏官1「みんなで使おう楽しい電波〜♪」
吏官2「でーんぱ、でんぱでーんぱ♪」
北川「あんた達こそ、変な電波受信してないか?」
吏官1「そう言うわけで、逮捕します。」
吏官2「逮捕です。」
北川「ちょっと待て、令状!令状無しに逮捕は」
吏官1「対バイオロン法第2条により、令状無しの拘束が可能なのです。」
吏官2「同条補足により、抹殺も可能です。」
北川「バイオロン・・・俺の容疑は電波法違反じゃなかったのか?!」
吏官1「この際何でもいいのです。」
吏官2「抹殺できればいいのです。」
北川「ちょ、ちょっと待て!」
吏官1「着化」
吏官2「ブラストアップ」
北川「うああぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
北川ヒィト・ハァト・サマァ大作戦
・・・・暑い。
何度だ今。う〜ん、家庭用の体温計じゃわからないか。
多分、30度は超えているだろう。どうりで変な夢見るわけだぜ。
そうだ。秋子さま。
秋子さまは、この猛暑の中一体どうしているのだろう。
やっぱり変な夢でも見ているのだろうか。
秋子「ああっ、やめてください。北川さん、助けてください!」
祐一「ふっふっふ、叫んでも北川も名雪も来ませんよ。」
秋子「ああ、祐一さん。どうしてそんな嫌らしい笑い方をするんですか。」
祐一「俺はずっとこの機会を待っていたんですよ。さあ、おとなしくしてください・・・」
秋子「い、いやっ、やめて、やめてくださいっ!」
祐一「ほらほら暴れないでくださいよ、うまく入らないじゃないですか。」
秋子「あ、ひ、いや、は、いっ、ちゃう・・・」
ピッ
祐一「・・・ほほう。秋子さんの体温は36.8°ですか。」
秋子「ああ、耳で測ると、脇の下より高めに出てしまうのに・・・」
祐一「さあ、次は佐祐理さんの体温でも測りに行こうかな・・・・」
い、いかぁん!
いくら夢の中とは言え、こんな卑劣で破廉恥なことが秋子さまに行われているとは!
むむ、許せんぞ相沢祐一。
ええい、この北川潤が、これから御主を成敗しに行ってくれるわ!
ヴィーッ、ヴィーッ、ヴィーッ
祐一「な、なんだなんだ、何事だ!?」
秋子「あらあら、何の警報かしら。」
名雪「北川警報発令、だよ!」
祐一「北川警報?」
秋子「あらあら、北川さんが来るんですね。お茶用意しなきゃ。」
名雪「総員第一種戦闘配置、だよ!」
祐一「なあ名雪。ほんとに北川が来るのか?」
名雪「来るんだよ!」
祐一「でもなあ。北川がここ来るんだったら、ほら、いつもの『ずどどどどど』が聞こえるはずだろ?」
名雪「うん・・・」
祐一「聞こえないぞ。」
名雪「でも・・・・この『対北川潤監視追跡システム・ユジノサハリンスクワン』に限って、誤報なんてあり得ないよ!」
祐一「なんだそれ」
名雪「GPSと核磁気共鳴DNA分析装置を組み合わせた、画期的な生命追跡装置だよ。香里と天野さんが共同開発したんだよ。」
祐一「俺共同開発って嫌いなんだよな。ほら、SWITCHとか、SPEEDとか、・・・」
名雪「いいから、見回りに行くよっ。もう北川君が侵入してるかも知れないんだからっ」
俺は今、地面の下にいる。
ふっふっふ、今日はちょっと、いつもと違う現れ方をしてみるのさ。
今日の目的は、秋子さまを相沢の魔の手から守ること。
いつもみたいに、秋子さまに愛の言葉を伝えるのとはワケが違う。
だからこうして、ちょっと静かに家の中に入った方が良いのさ。
ざっくざっくざっく
おっ、そろそろ水瀬家地下だな。
上へ〜、上へ〜
ガツンガツン
ちなみにこれは、床をぶち抜いてる音だ。
ドコッ
うむ、成功。・・・・・って、ここは・・・・?
暗くてよくわからないな。
祐一「おい、こんなところに北川がいるのか?」
名雪「いるかもしれないでしょ」
祐一「いや、いくら北川でも、トイレの中に隠れるほど落ちぶれてないと思うが・・・・」
ガチャッ
名雪「・・・・・・・・。」
祐一「・・・・・・・・。」
北川「よお。」
名雪「北川君発見!発見発見発見発見発見!」
祐一「な、な、な、な、な、なにやってんだよお前!」
北川「なにやってんだよ、だと!俺はな、秋子さまをお前の魔の手から救うために、こうして夜の闇を切り裂きながらはるばるやってきたのだぞ!」
祐一「何言ってんだお前」
名雪「北川君。この床、どういうこと?!」
北川「ど、どういうことって・・・・?」
名雪「トイレの床にこんな大穴あけるなんて、どういうつもりなんだよっ!」
北川「え、そ、それは前述のように、秋子さまを相沢の魔の手から守るため・・・」
祐一「だからさ。その俺の魔の手ってなんなんだよ。」
北川「なに、説明しなきゃわからないのかこのたわけは!」
名雪「たわけは北川君だよ!」
北川「ふ、仕方ないな。特別に、この潤が説明してやろう。」
祐一「ふふふ、秋子さん・・・」
秋子「な、何をするんです祐一さん・・・・!」
祐一「何、ですって?ふっ、わかってるくせに。」
秋子「ああ、なんていやらしい目。この歳になってこんな獣にこんなことされるなんて、思ってもみませんでした・・・」
祐一「人間の予想なんて当てにならないものですよ。村上龍ですらソ連邦の崩壊を予測できなかったんですよ。」
秋子「ああ、私、名雪になんていいわけしたら・・・」
祐一「言い訳の必要などありませんよ。さあ秋子さん、いきますよ・・・」
北川「そこまでだ!」
秋子「じゅ、潤ちゃん・・・!」
祐一「なに、あのかっこよさでは世界一、立った髪がプリチィで女子高生にモテモテのCIAの永遠のライバル、そしてフレデリック・ジョーンズは沖縄で風のたどり着く場所を見たという、あの正義のヒーロー北川潤か?!」
北川「フレデリック・ジョーンズは関係ないが、後は大正解な北川潤だ。」
秋子「潤ちゃん、私をこの獣から助けてください!」
北川「ふふふ、言われるまでもなく、潤はそのためにここにやってきたのですよ。」
祐一「ああ、フレデリック北川が来てしまっては、俺にはもう勝ち目はない」
北川「フレデリックは関係ないと言っておるだろう!武装〜光輪〜!」
祐一「うわああああああああああ」
秋子「あ、ありがとう潤ちゃん。」
北川「ふ、礼には及びませんよ秋子さま。潤は、秋子さまのためならこの命をも捨てる覚悟なのですから。」
秋子「まあ、潤ちゃんそこまで私のことを・・・」
ぎゅっ
北川「あ、あきこさま・・・」
秋子「せめてものお礼です。しばらくこうさせてください。」
北川「ああ秋子さま、秋子さまの真っ白な肌が、この潤の目の前に・・・」
秋子「うふふ、すりすりしてもいいですよ。」
北川「そんな、この潤が、そんなことをするなんて」
秋子「いいんですよ。潤ちゃんには、その資格が十分あります。」
北川「そうですか。では遠慮なく・・・」
すりすり
すりすり
すりすり
すりすり
祐一「おい、。」
北川「すりすり、ああ、秋子さま〜」
祐一「何やってんだよ。何が獣だよ。フレデリックジョーンズって誰だよ。」
名雪「祐一。便器に顔すりつけるような人に、話しかけない方がいいよ。」
北川「秋子さまぁ〜」
祐一「じゃあ、どうする?」
名雪「埋めるよ。」
祐一「え?」
名雪「後ろからぶん殴って、気絶した隙に埋めるよ。」
祐一「そうだな。さすがに今日は、俺も弁護する気になれん。」
名雪「ということで、台所から生ゴミ持ってきて。」
祐一「ほいきた。・・・って、何で生ゴミ?!」
名雪「他に埋めるものがないからだよ。足りなかったら、お母さんの部屋から放射性廃棄物持ってきて。」
祐一「放射性廃棄物って・・・」
名雪「さあ、殴るよ!」
北川「ああん、秋子さまぁん」
ごすっ
・・・な、なんだ・・・この後頭部に走る衝撃・・・
マイクロウェーブか?くそ、また受信しちまったのか・・・・・
暗闇の中、鼻を突く臭いに俺は目を覚ました。
北川「・・・なんだこれは・・・生ゴミか?!」
どういうことだ。なぜ俺は、生ゴミと一緒に・・・
ああわかったぞ、これはきっと、相沢の仕業だ。大方、土木屋さんごっこでもやったのだろう。奴はきっと、バビロンプロジェクトのあの興奮が忘れられず、この地にまで大堤防と揚水システムを作ろうと目論んでいるんだ。
しかし、なぜそこで生ゴミを使う?まあ、この辺が相沢のおろかというか、人間味のあるところだよな。
だが貴様のその甘さが、命取りになるのだ。待っておれ相沢祐一、お前なんぞに、秋子さまを渡してなるものか!
祐一「・・・なあ。なんか、地下で変な音がしないか?」
名雪「くー」
祐一「・・・北川埋めたら、速攻で寝てやがる。おい、こんなところで寝るな、風邪引くぞ」
北川「ふっふっふ、まっておれ相沢・・・・」
冷却処理終了。リニアアクチュエーター動作問題なし。網膜識別完了。脳幹パルスコンタクト。
北川「yes!]
ASURA起動。グリフォン、発進!
名雪「ゆーいちーゆーいちー」
祐一「な、なに寝ぼけてんだよ名雪!おい、離れろ!」
名雪「せぼねばきばきってしていい?」
祐一「絶対にだめだ!」
名雪「うー、ゆーいちけちだよー」
ズゥゴゴゴゴゴ
祐一「な、なんだ、なんの音だ?!」
北川「♪たんたんたんたんたーらららーらー♪」
祐一「・・・北川。なんのテーマソングだそれ」
北川「愛と平和と友情の戦士、パリティ北川参上!」
祐一「パリティの意味わかってるのか?」
北川「む・・・・貴様ら、なにをしている」
祐一「なにって・・・・」
名雪「ゆーいちーみぎわきばらこちょこちょしたいよー」
北川「あ、相沢・・・貴様、まさか・・・」
祐一「ち、違う!誤解だ!どういう風に誤解しているのかしらんが、とにかく誤解だ!」
北川「誤解なものか!その姿は、どう見ても『地球にたった二人取り残された兄妹ごっこ』にしか見えんぞ!」
祐一「なんだそれ・・・」
北川「な、なんて破廉恥な・・・貴様、秋子さまを毒牙にかけるだけでは飽きたらず、娘のなゆちゃんにまで・・」
祐一「いや、毒牙にかかろうとしてるのはむしろ俺の方なんですけど」
名雪「気絶するまで耳の穴にふ〜ってしたいよー」
北川「問答無用!火星にかわって折檻だ!」
祐一「男に折檻されたく無いって・・・」
北川「何を贅沢を言っておる!貴様に、貴様のような男に、娘を取られた父親の気持ちが分かるかあ!」
祐一「わかんねーよ。俺、まだ父親にはなりたくないし・・・」
北川「そうだ!貴様に父親を名乗る資格など無い!なぜなら、なゆちゃんの父親は、この俺以外あり得ないからだ!」
祐一「北川、会話無茶苦茶。」
北川「ああ、秋子さま!あなたの大切な娘は、きっと、必ず、いつか、どこかで、この潤がお守りして見せます!」
祐一「寝ぼけてるのか?いや、放射線浴びておかしくなったのか・・・」
北川「覚悟せよ相沢。ペガサス!りゅ」
秋子「あらあら潤ちゃん、来てたのなら一言言ってくだされば。」
北川「あ、あきこさま!」
秋子「あんまり遅いから、祐一さんと駆け落ちしたのかと思いましたわ。」
祐一「それは絶対にないです。」
秋子「潤ちゃん。あちらにお茶が用意してあるんですよ。ご一緒にどうですか?」
あ、秋子さまから。お茶のお誘い。
これは、これはもしかして
秋子「潤ちゃん、さあ、このお茶、一気に飲んでくださいね。」
北川「そんなもったいない。せっかく秋子さまが入れてくださったお茶を、一気になんて・・・」
秋子「・・・潤ちゃん。私の言うことが・・・」
北川「い、いえ!潤は、秋子さまの言いつけなら、何でも守ります!秋子さまの言うことはすべて正しいのだから!」
ごくごく
秋子「まあ、いい飲みっぷり。」
北川「ああ秋子さま、なんだか潤は、ちょっと変な気分です・・・・」
秋子「ちょっと、精神安定剤を入れてみました。」
北川「ああ、甘味料の代わりになると言うあれですね。でも潤は、どっちかというとオリゴ糖の方が・・・・」
秋子「うふふ、だいぶ利いてきたみたいですね。潤ちゃん、動けるかしら?」
北川「え、なんとか。でも、力入れるのは無理っぽいです・・・」
秋子「うふふ。じゃあ、わたしがこんな事しても、ささやかな抵抗しかできないわけですね。」
北川「ああ、やめてください秋子さま、潤は、潤はとっても恥ずかしいです・・・」
秋子「うふふふふふふ・・・・」
祐一「あ、北川お腹にペコちゃん描いてる。やーはずかしーはっずかしー。君は恥ずかしい人だ。」
北川「うう、そんな・・・・」
秋子「大丈夫ですよ潤ちゃん。私は、ちっとも恥ずかしいと思いませんよ。」
北川「秋子さま・・・」
秋子「でも、・・・・今度は、ちょっとだけ恥ずかしいこと、しましょうか?」
北川「・・・・・はい!」
北川「にゅふふふふふ・・・・・」
祐一「北川、・・・・」
秋子「さあどうぞ。暑いときは、やっぱり水出し玉露ですよ。」
北川「いただきます!」
祐一「ってこれ、ジャム入ってるじゃないですか。」
北川「俺は飲むぞ。」
秋子「お約束ですから。」
祐一「そんな約束した覚えありません。」
北川「ふにゃあ・・・」
秋子「祐一さん・・・・」
祐一「な、なんですか!何でそんな意味ありげな悲しそうな顔を」
北川「相沢、貴様、秋子さまを悲しませるようなまねを・・居候の分際で!」
祐一「そうだった。選民宣言ですっかり忘れてたけど、俺って居候なんだった。」
秋子「14万4千人の幻の麺ですね。」
祐一「なんですかそれ?」
北川「とにかく!相沢、秋子さまを悲しませたお前を、俺は絶対許さない!」
秋子「あらあら、でも気にしなくていいんですよ。」
北川「そうは行きません!こら相沢。ここの家主は誰だ?秋子さまだろう。そしてお前は居候。タダ飯食い、フリーライダーだ。社会経済にとってフリーライダー問題がとれだけ深刻か、わかるか!」
祐一「俺経済学やってないからわかんない・・・」
秋子「じゃあ、仮面ライダー問題ならわかるかしら?」
祐一「あ、それなら何とか。。ライダー2号が、一条ゆかりでしょ?」
北川「・・・・誰それ。」
秋子「あら北川さん。一条ゆかり、ご存じ無いんですか?」
北川「え?!えっと、それはその・・・・」
秋子「そういえば北川さん。さっきからアニメネタ結構使ってますけど、ちょっと世代的に偏ってはないですか?」
北川「う、そ、それは・・・・」
秋子「鉄人28号が出てきてくれたらうれしかったんですけど。」
祐一「そりゃまた古い・・・」
北川「いや、きっとリメイク版の方だ。そうに違いない。」
秋子「あれは正太郎君が大人になっちゃってるから、だめです。私、子供の正太郎君が好きなんです。」
祐一「ああ、やっぱり。」
秋子「やっぱりってなんですか、祐一さん。」
祐一「い、いえ!決して秋子さんに、ショタコンの気があるなんて・・・・」
秋子「・・・・・。」
祐一「ですよね、ですよね。秋子さんがショタコンのはず無いですよね。」
秋子「気じゃなくて、ショタコンそのものなんですよ。」
祐一「自分で言いますか!」
秋子「冗談です。」
祐一「ほっ、安心、心底安心、マジで安心・・・」
秋子「だって、ショタコンだと、17歳は範疇に入らないじゃないですか。」
祐一「そ、それって・・・・」
秋子「祐一さん♪」
祐一「う、うあ・・・・」
北川「秋子さま!この、この潤をさしおいて、相沢に声かけるなんて、ひどすぎますっ!」
秋子「あら、こえ、かけてほしいんですか?」
北川「はい!それはもう・・・」
秋子「では、遠慮なく。」
べちゃ
北川「・・・秋子さま。これは・・・?」
秋子「本当は馬のがよかったんでしょうけど・・・。今ウサギのしかなくて。ごめんなさいね。」
祐一「そっちのコエですか!」
北川「♪いつでもこえをかーけーてくれー♪ 秋子さま、ありがとうございます。」
祐一「しかも喜んでるし!」
北川「ふ、こんなもの・・・。生ゴミと放射性廃棄物で埋められたことに比べれば。」
祐一「あ、いや、あれは・・・」
秋子「放射性廃棄物、ですか?」
北川「ええ。俺のこと、あんな危険物で埋めたりして。おかげで、俺の頭のガイガー係数計がピーピーうるさいですよ。」
秋子「祐一さん」
祐一「は、はひっ!」
秋子「人の部屋から勝手に物を持ち出したりして・・・。しかも放射性物質は、法律できちんと厳重管理するよう定められているんですよ?」
祐一「で、でもあれは名雪が・・・」
秋子「後でゆっくりお話ししましょうね。」
祐一「はい・・・・・」
北川「相沢・・・・うらやましい!うらやましすぎるぞ!!」
秋子「あらあら。潤ちゃん、潤ちゃんがこんな程度のことをうらやましがっては、いけませんよ?」
北川「秋子さま・・・」
秋子「潤ちゃんには、もっといいことしてあげますよ。」
北川「いいこと・・・」
秋子「うふふ、さあじゅんちゃん、いらっしゃい・・・・・」
北川「あきこさま・・・・」
秋子「気持ちよさそうに眠ってますね。」
祐一「いや、これは眠っているというか、なんというか・・・」
秋子「今日はもう遅いから、このまま寝かせておいてあげましょうね。」
祐一「なんか、このまますんなり寝かせておくのって、しゃくに障るよな・・・」
名雪「よるー、よるだよー、よなかにめがさめたからおみずのんでといれにいくよー」
ごくごく
名雪「おみずのんだからこんどはといれにいくよー」
じょぼじょぼ
名雪「おとめのといれのおときくなんてへんたいだおー」
名雪「といれにいったらてをあらうんだよー」
名雪「ついでにうがいもするから、せんめんじょにいくよー」
ドツン
名雪「なんかつまづいたきがするけど、きのせいだおー」
どすっ
北川「う・・・・・・・」
名雪「ちょうどいいから、ふみだいにするよー」
グギョ
北川「ぐ・・・・・・・」
名雪「うがいぐすりはいそじんよりこるげんだおー」
がらがらがらがら
ぺっ
べちゃ
名雪「まちがえてふみだいにはきだしちゃったよー。でもこんなところにふみだいおいとくほうがわるいんだよー」
名雪「もうひとねむりするからそのまえにすきっぷけんけんするよー」
スキップスキップ
どすどすん
北川「う・・・が・・・ぐ・・・」
名雪「じゅんびうんどうしたからぐっすりねむれるよー。あしたもはやいよー」
北川「うう、ううう・・・・・・・」
朝。
まぶしき光の祝福を受けて、俺は洗面所で目覚めた。
・・・なぜに洗面所?
待てよ、なんか俺、夕べの記憶があんまり無いんだけど・・・・
確か、秋子さまのお茶を飲んで、それから、・・・
なんか、いいことしたような記憶が・・・・
ん、なんか脇腹が痛いな。内蔵がつぶれてるのかな?
はっ、これはもしかして
秋子「潤ちゃん。腎臓の周りの肉2ポンド、いただきますね。」
北川「ああそんな秋子さま、こんなところでヴェニスの商人ごっこだなんて・・・」
秋子「ベニス、好きでしょ?」
祐一「それは秋子さんでは」
抹殺
秋子「さあ潤ちゃん、できましたよ。肉二ポンドはつぶれたけど、血は一滴も流されていません。」
北川「内出血という奴ですね。ああ秋子さまは、あなたはまるでポーシャのような人だ」
秋子「うふふ潤ちゃん、だったら三つの壺の儀式でもやりますか?」
ううむ、あきこさんがここまで俺に迫ってくれていたなんて。知らなかった、記憶のない俺のバカ。
あ、なんだか腕も折れてる気がする。これは・・・
秋子「潤ちゃん。創造主は、アダムのあばら骨を一本取って、エバを作ったんだそうですよ?」
北川「ああ秋子さま、あなたが創造主で、潤がアダムですか?でもそれじゃあ、二人は結ばれることはないじゃないですか。」
秋子「だからこうして、私の複製を作るのです。そしてそれは、あなたの体からも生まれた物。意味、わかりますね?」
北川「ああ、つまりこれは、ちょっと文学的にお誘いをしているわけですね・・・」
秋子「潤ちゃん・・・」
北川「秋子さま・・・」
ああ、なんてこと。秋子さまは、俺の体を傷つけてまで、そんなものを望んで・・・
でも俺、そのときの記憶全然無いぞ。どう言うことだ?悔しいな・・・
ん?なんか冷たい部分があるな。濡れてるのか。あ・・・・・・
な、なんだこれは。・・・ちがうぞ。うん。絶対に違う。
場所がちょぉっとアヤシイけれど、これは何かの間違いだ。
うん、これはきっと、こういうことだ。
秋子「潤ちゃん、熱いですね・・・」
北川「はっはっは、俺は燃える漢ですから。」
秋子「私は、もう、ちょっと限界です。」
北川「済みません秋子さま、潤の力が有り余っているばかりに・・・」
秋子「いいんですよ。若い人はこうでなくては。」
北川「ああでも、こいつの始末どうしよう。」
秋子「大丈夫ですよ。こういうのは、お水かけておけば。」
じゅぅぅぅぅぅ・・・・
秋子「ほら冷めた。」
北川「ああ秋子さま、重ね重ねありがとうございます・・・」
う〜ん、こういうことだったのか。やはり記憶にはないが。
しかしまあ、こういうのはすぐ蒸発すると思っていたのに、結構残っちゃうものなんだな。
ちょっと恥ずかしいぞ。・・・うん、できるだけ人に見つからないように、出ていって着替えるとしよう。
祐一「やあ北川、恥ずかしいなー」
げ、いきなり見つかってるし・・
祐一「どうしたんだァ?うぅん?なんだその、おまたが濡れた状態はァ。」
北川「こ・・・これは、秋子さまとのめくるめく愛のあかしとしてのだな」
名雪「どうして愛の証が、そんな恥ずかしい姿なの?」
北川「いや、だからそれは・・・言うと恥ずかしいから、勘弁してくれよ。」
名雪「そう。だったら、言わなくていいよ。」
祐一「お、今日の名雪はなんか寛大だな。」
名雪「・・・・・・・。」
祐一「名雪?」
名雪「・・・北川君。夕べ、何してたの?」
北川「え?!」
名雪「良く覚えてないんだけど・・・わたし、北川君に何か恥をかかされたような気がするよ。」
北川「え?!お、俺は何もしていない・・・はずだけど」
祐一「はずってなに。」
北川「いや、良く覚えてないからさ・・・」
名雪「思い出した。わたしがトイレに入ったとき、北川君に、音聞かれたんだよ。」
祐一「うわ、それ本当か?」
北川「そ、そんなことしてない!してないぞ!」
祐一「サイッテーだな、お前。」
名雪「変態、だよ。」
北川「違うって、誤解だって、俺そんなことしてないって・・・」
祐一「聞く耳持たん。」
北川「そんな・・・。俺とお前は、友達のはずじゃ・・・」
祐一「お前夕べ、俺が誤解だって言ってるの聞かずに、攻撃しようとしたよなあ・・・・?」
北川「そ、そうだったか?」
祐一「そうだった!」
名雪「北川君スケベ。えんがちょ。バッテン百回付けて簀巻きにして逆さ吊りの刑だよ。」
北川「何でバッテン百回なのかわかんないけど、とにかくいやだぁ!」
俺は吊されていた。
真下には、オヒシバメヒシバカラスムギ、とにかくいわゆる雑草の類が、青々と生い茂っている。
いやだな。夏場のこういうとこって、大概・・・
蚊1「かぶんぶぶ♪」
蚊2「かぶんぶぶ♪」
蚊3「かぶんぶぶんぶぶ♪」
ほら来やがった。何てめざとい連中だ・・・
蚊1「ねえねえあなた、血を吸うのは全部雌の蚊だって、かしらかしらご存じかしらぁ?」
蚊2「ちょっとちょっと、あんなところに吊された男の子がいるわよ。」
蚊3「まー、かわいい。いかにも精力あふれる、ってかんじい?」
蚊1「ああいうタイプは、ちょっと血の気を抜かないと、社会に悪影響与えるわよお?」
蚊2「じゃあ、遠慮なく頂いちゃいましょうか♪」
蚊3「いただいちゃいましょ、そうしましょ♪」
あ、バカ、こっち来るな、来るんじゃねえぇ!
蚊1「かぶんぶぶ♪」
蚊2「かぶんぶぶ♪」
蚊3「かぶんぶぶんぶぶ♪」
北川「うあああぁぁぁ・・・・・」
秋子「あら、潤ちゃん・・・?」
北川「あ、あひふぉふぁま・・・・・」
秋子「どうしたんですが、この姿・・・」
北川「ふぁ、ふぁのふぁいふんふぁ・・・ふぉえ、ふぉおれふぁいまふぃは・・・」
秋子「よくわからないけど、とにかく名雪の仕業ね?」
北川「え?ふぉういうふぉふぉへははふ。はあ、はゆふぁんふぉへいふぁんへふへほ・・・」
秋子「とにかくいらっしゃい。手当てしないと。」
名雪「あ、また北川君がうちに上がり込んでる。」
秋子「名雪、ちょっといらっしゃい。」
名雪「なに、おかあさん・・・・?」
秋子「・・・・・・。」
北川「・・・・・・。」
名雪「・・・違うよ、北川君が悪いんだよ・・・」
秋子「・・・・・・。」
名雪「だって、わたしのトイレの音、聞いたりするから・・・」
秋子「・・・・・・。」
名雪「そりゃ、わたしも寝ぼけてたけど・・・」
秋子「・・・・・・。」
名雪「よく覚えてないけど・・・」
秋子「・・・・・・。」
名雪「・・・・・・。」
秋子「・・・名雪。あんまり潤ちゃんいじめちゃだめですよ?」
名雪「・・・うん、わかった。」
北川「あひほはは・・・」
秋子「いいのよ。潤ちゃんはもう、気にしないで。」
北川「はひ・・・・」
秋子「それにしても、潤ちゃんは凄いわね。普通はこれだけ刺されたら、ショック死してしまうものなんだけど・・・」
北川「ふ、ふほい・・・」
秋子「潤ちゃんって、凄いわ・・・」
凄い。
凄い。
凄い。
褒められた。秋子さまに、褒められた。
う・・・
北川「うおおおおおおおおおおお!」
秋子「あ、潤ちゃん、そんな急に動いたりしたら」
俺は今、幸せだあ!