みなさんこんにちは。人によってはこんばんは。
天野美汐です。ええ美汐です、美汐ですとも。

今日は、私の大切なお友達の話です。
そう、沢渡真琴と呼ばれたり、マコピーと呼ばれたり、人によっては殺村凶子とか狐のルナールとか呼ばれている、あの子のことです。

え、ネタバレ?ネタバレですか?困りましたね。
まあ、いいでしょう。教育委員会が許してくれなくても、ピースボートジャパン事務局が許してくれるでしょうから。

そんなことはどうでもいいんです。

真琴のことです。

あの子、お友達がいないようなんです。
なにぶんずっと山で育ったものですから、「野生のエルザ」よろしく、唸って人に噛みつくんですよ。

え?噛みつきはしてない?

おかしいですね、手元の資料では・・・・
【Kanon総天然色支持者向基本台帳 著者:北川潤】

・・・よく見たらこれ、なんか変ですね。
てっきり、Keyが出してる公式正式な設定資料集と思ったのに。
誰ですか、こんないい加減なもの出したのは。
きっちり責任取って貰いますよ。

北川「♪まこぴぃ〜は〜ママの味〜♪」

・・・あの人ですね。
ええ、間違いありません。
背中に「北川潤、漢の花道」なんて貼り紙してますから。

恥ずかしい人ですね。

でも、この際仕方ありません。
あの人に、しっかり責任取って貰うことにしましょう。うふふふフ・・・・
 
 


まこぴぃ向上委員会!
美汐ちゃんの願い






美汐「ということで真琴、まずは雨を降らせなさい。」

真琴「どうして?」

美汐「北川さんと相合い傘になるためです。」

真琴「ど、どうしてあいつと相合い傘にならなきゃいけないのよぉ!」

美汐「それがあなたのためです。」

真琴「あたしの・・・・・?」

美汐「そう。あなたは今、『唸って人に噛みつく狂狐』なんて噂を立てられているのですよ。」

真琴「えーっ!そんなのヤだあ!」

美汐「ですから。あなたはそれを払拭するために可憐な乙女を演じなければいけないのです。」

真琴「かれんなおとめ?」

美汐「そう。可憐な乙女は漢の憧れ。ウソでもいいから演じきって、悪い噂はちちんぷいぷいにするのです。」

真琴「だから、相合い傘・・・・?」

美汐「相合い傘は漢の浪漫です。あの不朽の名作『漢・の・野・望』の第四話を読みなさい。」

真琴「ううっ・・・でも、なんかヤだ・・・・」

美汐「我慢するんです。用が済んだら呪い殺そうがドブに捨てようがかまわないから。」

真琴「あうーっ・・・・」

美汐「私も影で密かに応援していますから。さあ、がんばるんですよ。」
 



 

さあ、雨も降ってきたし、真琴の準備も済んだし。完璧ですね。
こういう、太陽がでてるのに雨が降ってるのを、狐の嫁入りというんだそうです。
ああ真琴、あなたもとうとうお嫁に行ってしまうのね・・・
25年間苦労ばかりかけさせられたけど、いざ離れてしまうとなると寂しいわ。

私何を言ってるんでしょうか。
25だなんて失礼な。
おばさんというのは、もっと年を食った
・・・誰がおばさん臭いですか。

あ、そんな事言ってるうちに、北川さんがやってきましたね。
思った通り、傘さしてません。
さあ真琴、うまくやるんですよ。

北川「♪なゆき〜は〜ママの味〜♪」

・・・あの歌さっきから歌ってますけど、いつの間に食べたんでしょう。
ほんとに男って、油断なりません。不潔です。

真琴「あ、あう〜、・・・・・」

北川「ん?何か用か。」

さ、そこっ!思い切って、「一緒に傘入らない?」!

真琴「あう〜、か、かさ・・・・・」

北川「傘がないのか?悪いな、俺もないんだ。」

北川さん、真琴が今差し出してるのは何ですか・・・・

真琴「い、いっしょに、はいろー・・・・・」

北川「ハイロー?ハイ&ロー?そう言えば昔、そんなクイズ番組があったな。」

北川さん、あなた一体いくつですか・・・・

真琴「う、う・・あう〜」

ほら見なさい。北川さんがまともな応答しないから、困っちゃってるじゃないですか。

北川「あ、ひょっとして大道芸の練習か?いや、あまりおもしろくなかったなあ。」

北川さん・・・・

北川「うむ、しかし俺はいいやつだからな。ということで、見物料50円やろう。」

真琴「わあい、50円〜♪」

こ、こら真琴、50円ばっかで喜ぶんじゃありません!

北川「では、さらば戦友よ、また会う日までは尾崎紀世彦」

あ、あ、北川さん行っちゃったじゃないですか・・・
 



 

美汐「大失敗でしたね、真琴。」

真琴「あう?でも真琴、50円貰ったよ♪」

美汐「50円ばっか、久茂地交差点で箱持って立ってればすぐ集まります!」

真琴「どこそれ?!」

美汐「しかたありませんね、次の作戦に行きます。」

真琴「あう?」

美汐「『漢・の・野・望』第七話、出会い頭の恋!」

真琴「夜明けのエスプレッソは飛ばすの?」

美汐「やりたいの?」

真琴「(ぶんぶんぶんぶん)」

美汐「じゃあ、出会い頭の恋です。ここで待ってなさい。」

真琴「待ってると北川君くるの?」

美汐「トンボやチョウには、同じ場所を何度も周回する習性があるんです。」

真琴「北川君って、昆虫だったんだ・・・」

美汐「ほら来た。」

北川「♪さゆりぃんは ママの味〜♪」

美汐「さあ行きなさい、真琴!」

どんっ

真琴「あ、あうっ、あうっ、あうっ!」

どしんっ

美汐「成功!」

北川「ん、今何かぶつかったような?まあいいか、自賠責入ってるし」

北川さん、徒歩なのに何故自賠責入って・・・・・

真琴「あう〜・・・」

北川「なんださっきのお嬢ちゃんじゃないか。どうしたんだい?もしかして俺に惚れた?」

な、なんて自意識過剰。
でも、おかげで話が早く進みます。

真琴「ほ、惚れてないんだからっ!」

ぐっ
いい感じです、真琴。いかにもその、ムキになったっぽい否定の仕方。

北川「そうかい、そいつは残念だ。」

え?

北川「じゃあな、お嬢ちゃん。風呂入れよ、歯磨けよ、顔洗えよ。」

ちょ、ちょっと。何でそうすぐ行こうとするんですか!
真琴も!ぼんやりしてないで、引き留めなさい。

祐一「お、真琴。何やってんだ?」

あ、こ、この声は。

真琴「あ、祐一。」

な、なんということでしょう。まさかここで、祐一さんが登場するとは。

真琴「わあい、祐一、あそぼっ!」

たたたた

あ、だめよ真琴それは私のもの。

祐一「遊ぶのはいいが、俺は今欲求不満だぞ。」

真琴「よっきゅーふまん?」

ああ、しかもなんて危険な会話。

祐一「男はな、あんまりしないでいると頭から湯気がでるんだ。それのことだ。」

真琴「何をしないと湯気がでるの?」

ゆ、湯気だなんて。知りませんでした。もう私の頭から湯気でそうです。

祐一「ふふふ、それはだな・・・」

ああ、だめですだめですもうダメです。

・・・仕方ありません、コルホーズ1号君発進。

ぽちっとな

1号「オオーン!」

祐一「な、なんだこいつ!」

真琴「わ、な、なにするの!はなして!」

どどどどどどどど・・・・
 

ふふふ、さすが私の作ったコルホーズ1号君ですね。
ええ、私ずっと人間のお友達がいなかったものですから、その分機械には滅法強いんです。

祐一「・・・天野?」

美汐「はっ!ゆ、ゆ、祐一さん!」

祐一「何やってんだ?」

美汐「・・・いえ、ちょっとお空のお散歩をしたかっただけですよ。」

祐一「そうか。」

がーん、素で流さないでください。

美汐「・・・祐一さんは、朝日の中で花火するの、好きですか?」

祐一「俺は嫌いだな。」

美汐「良かった。私も嫌いなんです。」

ふっ、これでとりあえず名誉挽回

祐一「でも天野、一昨日の朝真琴と二人で花火してたよな?」

がーん、み、みられていたなんて・・・・

美汐「あ、あれは、真琴がネズミ花火したいって言うから・・・」

祐一「やってたのって、『徳用線香花火:200本セット』じゃなかったか?」

美汐「そ、それは・・・・・・」
 



 

その頃。
 

どどどどどどどど

真琴「わー、やめてとめてやめてとめてやめてとめてぇぇぇ!!!」

北川「お?何事だ?」

ずどどどどどどど

北川「むぅ!あれは先刻より俺につきまとっていた少女!それを連れ去ろうとしているのは・・・良くわからんが、とにかく悪いやつに違いない!」

北川「むぅ、しかしあのスピード、追いつくにはちと無理があるな・・・」

北川「しかたない、あれを使うしかないか!」

ずんっ

北川「はぅあぁ〜、ふんぬっ!」

子供「お母さん、あの人変な踊りしてる。」

お母さん「しっ、見ちゃダメよ。」

北川「ほいやぁ〜、ふぃ!」

北川「ふぉれぇ〜、ふぁ〜、ちゅごおぉ!」

北川「き・た・が・わ・ビーム!」

・・・・・・・・・・。
(註:光は基本的に音を発しません。)

北川「き、きかん!何故効かないのだ!この、天下無敵の北川ビームが通用しないとは!」

北川「ああっ、このままでは標的が直線上から離れてしまう!」

北川「こらそこの理系男子高校生、蛍光板なんか当ててるんじゃない!」

北川「ああ、髪が!このままでは、放出アンテナが保たない!」

がくうん

北川「ん?・・・・止まったのか?」

北川「そうか。俺のビームは通用しなかったが、俺の少女に対する思いの強さが、きっと神様の奇跡を呼び起こしたんだ!」

祐一「お前、さっきから何言ってんだ?」

北川「げ、相沢。」

美汐「・・・祐一さん。話しかけると、同類と思われますよ?」

北川「な、なんてひどい言われようだ。俺は、ただ純粋にあの少女を助けようとがんばっていたのに・・・」

祐一「俺には道で踊ってる変なやつにしか見えなかったぞ。」

美汐「祐一さん。今はとりあえず真琴を。」

祐一「お、おうそうだったな。」
 
 
 
 
 

祐一「真琴!」

真琴「ゆ、ゆーいち〜、こわかったよ〜」

美汐「ごめんね、ごめんね真琴、怖い目に遭わせて・・・」

真琴「う、ひく・・・」

北川「嗚呼、まさに感動のシーン。俺も、髪を犠牲にした甲斐があったってもんだぜ。」

祐一「だから、お前は何の役にもたってないってば。」

北川「がーん。」

真琴「・・・おなかすいた。」

祐一「おまえ、良くこんな時に。」

美汐「いいのよ。さあ、今日は真琴の好きなもの食べに行こうか。」

真琴「・・・肉まん。」
 



 

その日は、3人で中華料理屋に行くことになりました。
あ、もう一人ついてきました。北川さんが。

北川「おい相沢、席案内されるとき、何で三名って言ったんだよ。」

祐一「お前こそ、何でついてくるんだよ。」

美汐「・・・いいじゃないですか。払ってくれるって言ってるんですし。」

北川「そうそう。・・・・・・え゛?!」

真琴「祐一〜、この餃子貰うねっ」

祐一「だったら、この残りの肉まん俺が全部貰うからな。」

真琴「あ〜、それだめぇ!」

・・・またじゃれ合ってますね。
私を差し置いて。

美汐「・・・・・・。」

どさっ

真琴「え?!」

祐一「天野・・・・」

美汐「私、モヤシ嫌いなんです。」

祐一「そうなのか・・・だからって、肉まんにモヤシ乗せることは・・・」

美汐「真琴のためです。」

真琴「あう〜、そうなの?」

美汐「そうです。」

真琴「う〜っ」

北川「しゃあねえなあ。このモヤシは俺が食ってやるよ。」

美汐「・・・・。」

真琴。いいお友達が出来ましたね。
ええ、ほんとにいいお友達が

北川「いでぇ〜、何で殴られるんだよ!」

真琴「肉まんまで食べちゃったからよっ!モヤシだけって言ったでしょ!」

ふふ、これで私も一安心です。
これで、心おきなく祐一さんと・・・

祐一「ねえねえ、君たち女子大生?肉まんは好き?」

美汐「・・・・・・。」

コルホーズ2号君、発進。

「オオーン」
 
 
 
 

おしまい
 



 

いまいちですね。引用まで使っておきながら。
パワー不足かなあ・・・夏だし。
以上、荒野草途伸でした。