あゆ「…ボク…ここにいたらいけないの…?」
あゆ「…いたら…いけない人間なの…?」
あゆ「そんなの嘘だよっ!」
祐一「おい、あゆっ!」
あゆ「…大したことじゃないよ…」
あゆ「…昔のこと…思い出しただけだから…」
祐一「昔のこと…?」
あゆ「…ボク…探さないと…」
祐一「おいっ! あゆっ!」
鞄を置いたまま、あゆが走り出す。
俺は、慌てて鞄を拾い上げる。
そして…。
俺は、鞄を持ったまま、すぐにあゆの後を追いかけた。
森の中を、来た時とは逆の方向に走る。
すでに、陽はほとんど隠れて、鬱蒼とした森の中は闇に等しかった。
そんな中で、あゆの小さな背中を追って、ひたすら走る。
薄暗い道と、突き出した枝が行く手を遮る。
それでも、あゆの背中を見失わないように、ただ必死で走った。
今、あゆを見失ってしまうと、二度と会えないような…そんな気がしたからだ。
祐一「……」
どれくらい走ったかも分からない…。
ふっと、あゆの姿が目の前から消えた。
『ぼしゃあん』という音と主に。
祐一「?!」
俺が駆け寄ると、そこには小さいが深そうな泉があった。
祐一「あ、あゆ・・・・!」
事態を悟った俺は、泉に向かってあゆの名を呼び続けた。
だが、あゆは浮かんでこなかった。
へなへなと、泉の縁で座り込む俺。
だがそのとき、泉から一筋の光が立ち上り、美しい女神様が現れた。
女神様「あなたが落としたのは、金のあゆですか?それとも、銀のあゆですか?」
祐一「は?!」
女神様「あなたが落としたのは、金のあゆですか?それとも、銀のあゆですか?」
祐一「金銀?ポケモン?」
女神様「どっちですか?」
祐一「俺はどっちも落としてない。うぐぅなあゆが勝手に落ちたんだ。」
女神様「あなたは大変正直な方ですねーっ。。ご褒美に、この銀のあゆをあげましょう。」
祐一「はあ・・・・。」
女神様「五つ集めるとオモチャのカンヅメがもらえます。」
祐一「なんだそれ」
女神様「それでは、さようなら。」
祐一「お、おい、ちょっとまって!うぐぅなあゆは返してくれないのかよ!」
女神様「・・・・訪問販売ではないので、クーリングオフには応じられません。」
祐一「なんじゃそりゃ!」
女神様「それでは、さようなら〜」
そう言い残して、女神は泉の中へ消えていった。
銀のあゆを背負った祐一が帰宅しました。
名雪「大きなおでん種。」
祐一「こんな時に冗談はよしてくれ・・・」
名雪「何があったの?」
祐一は事情を説明しました。
名雪「そうだったんだ・・・。」
祐一「なあ、名雪、俺は、俺はどうすればいいんだ・・・?」
名雪「う〜ん・・・・わかんないけど・・・あゆちゃんは、今頃どうしてるんだろうね。」
祐一「え?」
名雪「季節が季節だし・・・きっと泉のそこで寒がってるんだろうね・・・」
祐一「・・・そうか!よしあゆ、待ってろ!」
そう叫ぶと祐一は、自分の部屋にかけて行き、毛布を取り出しました。
祐一「もう一度行って来る!」
名雪「いってらっしゃ〜い」
再び泉までやってきた祐一。
祐一「さあ、あゆ!寒かったろう!毛布を持ってきたぞ!受け取れ!」
そういって毛布を高々とかざし、泉の中に放り込もうとしました。
しかしいきなり毛布を持ち上げたりしたので、祐一はバランスを崩してしまいました。
そしてよろけたまま、そのまま泉の中へ
ぼっちゃん。
泉から一筋の光が立ち上り、美しい女神様が現れました。
女神様「あなたが落としたのは、金の祐一ですか?それとも・・・・・・・・」
きょろきょろ
女神様「はえ〜、誰もいません・・・・・」
女神様は困ってしまいました。
そこへ、自称善良な一市民の北川君が接近してきました。
北川「♪ゴリラのパンツはにこにこパンツ♪」
女神様「丁度いいところに。とりあえず、あの人でいいですね。」
女神様は再び泉の中に戻ってしまいました。
そして、北川君が泉の側にさしかかったところで、再び女神様は現れました。
女神様「あなたが落としたのは金の祐一ですか?それとも、銀の祐一ですか?」
北川「おおお!泉の中から光の美女があ!あああああああ」
最後の「あああああああ」というのは、妄想に苦しむ声です。
かなり溜まってたみたいですね。
女神様「あなたが落としたのは金の祐一ですか?それとも、銀の祐一ですか?」
北川「あああ、漏れそう・・・・」
女神様「・・・話をちゃんと聞いてください!」
北川「おおう! (きりっ) 何ですか、お嬢さん。」
女神様「あなたが落としたのは金の祐一ですか?それとも、銀の祐一ですか?」
北川「祐一を?お嬢さん、僕は男を口説き落とすほど飢えてませんぜ。」
女神様「あなたは大変正直な方ですねーっ。。ご褒美に、金の祐一をあげましょう。」
北川「いらない。」
女神様「え?」
北川「何が悲しくて、男の銅像なんか貰わなきゃならないんだ。」
女神様「銅像じゃなくて金像です・・・・」
北川「金でもプラチナでも要らん。持って帰ってくれ。」
女神様「そんな・・・何か貰ってくれないと、佐祐理が叱られちゃうんですけど・・・」
北川「じゃあプレステ2くれ。」
女神様「プレステ2は、あいにく在庫がないんです。」
北川「ちっ、ここもかい。」
女神様「あの、そういうわけで金像・・・」
北川「いらねえってば、男の像なんか。女の子なら考えてもいいけど。」
女神様「女の子ですか・・・・わかりました。ちょっと待っててください。」
そういって女神さまは、泉の中に消え行きました。
そして、北川君が鼻毛を6本抜いた頃、女神様があゆを抱いて現れました。
女神様「どうぞ。」
北川「うおおぉぉ!女の子だあ!しかも本物の女の子だあ!いいの、ほんとにこれ貰っちゃっていいのおぉ?!ってあんたあゆじゃん」
あゆ「うぐぅ・・・そういうキミは北川君・・・・」
北川「何やってんだこんなとこで。」
あゆ「よくわからないんだよ・・・」
女神様「それでかまいませんね?それじゃ、失礼しまーす。」
女神様は泉の中に消えてしまいました。
あゆ「・・・ボク、帰らなきゃ。」
北川「あ、じゃあ送っていくよ。」
あゆ「ただいまっ」
北川「ただいま〜ってここ俺の家じゃなかった。」
名雪「おかえりなさい。・・・あれ、祐一は?」
北川「祐一?誰だそれは。」
名雪「誰って・・・。あゆちゃん、祐一と一緒じゃなかったの?」
あゆ「祐一・・・・ゆーいち・・・誰だっけ・・・」
名雪「どうしたの二人とも。祐一忘れちゃったの?」
北川「だから誰だそれは。」
名雪「だから、祐一は・・・あれ?」
北川「どうしたんだ?寝ぼけてるのか?」
名雪「そんなこと無いよ・・・たぶん。」
あゆ「それよりボク、おなか空いたよ。」
北川「よし、このビックリマンチョコ2000シール抜き(¥60−α)をやろう。」
あゆ「うぐぅ、溶けてる」
名雪「二人とも仲がいいね・・・」
北川「はっはっは、何しろあゆは、俺が貰ったモノだからな。」
あゆ「うぐぅ、ボクモノじゃないよ・・・」
泉の底。
祐一「わ〜〜〜!くらいよせまいよこわいよ〜〜〜〜!」
女神様「あははーっ、前からこんなペットが欲しかったんですよーっ。泉の底に一人で居るのって、寂しくってーっ。」
祐一「タスケテエ!ここから出してクレエ!」
こうして祐一は、泉の底で一生暮らしましたとさ。
めでたしめでたし