名雪「祐一、今日は憲法記念日だね。」

祐一「カマキリ拳法発祥を記念して制定された日だな。」

名雪「カマキリ拳法じゃないよ、日本国憲法だよ!何わけわかんない事言ってるんだよ!だいたい今の若い人はカマキリ拳法なんて知らないよ!」

祐一「作者も知らないけどな。」

名雪「そういうわけだから。わたし、今日は憲法について熱く語ろうと思うんだ。」
 
 

あたらしいけんぽうのはなし

 
 

祐一「わかった、好きにしてくれ。」

「どうして私まで呼ばれてるんですか?」

祐一「名雪に対する歯止めだ。」

「歯止め・・・ですか?」

祐一「栞は某所で国粋主義的なことを言っていた・・ような気がするからな。おまえ極右だろう。」

「わ、そんな事言う人嫌いですー」

祐一「そういうわけだから。栞、今日は憲法について熱く名雪と語ってくれ。」

「嫌ですー」

祐一「栞・・」

「どうせ叩かれるのがオチです。荒野草途伸は右な人間をボコボコにするのが趣味なんですー」

名雪「うん、じゃあいいよ。わたし一人で、熱く語ることにするから。」

祐一「うっれしそうだな名雪・・・」

名雪「でもテープは録っといてね。あとでDr.マシリトに送って考えを改めさせるから。」

祐一「宛先って『首相官邸 Dr.マシリト様』でいいのかな?」

「いいわけないですー」

佐祐理「じゃあ、佐祐理が後でお父様に頼んで届けてもらいますねーっ。」

祐一「佐祐理さん、いつの間に・・・」

名雪「ねえ。佐祐理さんは憲法擁護派だよね?」

佐祐理「ふえ、佐祐理ですか?うーん、佐祐理は頭がクルクルパーだからよくわからないですけど、今の日本が高度文明社会を築いたのは日本国憲法が礎にあるわけですから、否定はしたくないですね。」

祐一「佐祐理さんってクルクルパーなのか・・・」

佐祐理「祐一さん。よくも本気にしましたね。」

祐一「本気にして欲しくないなら最初から言わなきゃいいじゃないですか!」

「佐祐理さん。でも、おしつけですよ?」

名雪「それがなんだって言うんだよ。押しつけでも、良いものだったら問題は無いんだよ。だいたい、学校の勉強だって道路交通法だって洋服だってハンバーガーだって、みんな押しつけだよ。でも間違ってるわけじゃないよ。理由にならないよ。」

祐一「クルクルパーを押しつけてるという意味じゃなかったのか・・」

佐祐理「まだ言うんですかあ・・・そうですかあ。」

祐一「こ、こわい・・・」

名雪「佐祐理さん。後で一緒にお仕置きしようね。ああ、楽しみだよー。」

祐一「ま、待て!佐祐理さんはともかく、何で名雪までお仕置きするの!だめ、却下、禁止!間違ってる!」

秋子「そうですね、間違ってますよ。」

名雪「おかあさん・・・」

祐一「ですよね秋子さん、お仕置きなんて間違ってますよね?」

秋子「祐一さんにお仕置きするのは正しいことです。でも、今の憲法がいいものだという主張は間違ってますよ。」

名雪「おかあさん?!」

佐祐理「ふえ・・秋子さん、改憲派なんですか・・・?」

「やっぱり、9条は改正しないとだめですか?」

秋子「9条はいいんですよ。問題なのは第1条です。」

祐一「第1条・・?」

香里「『天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。』」

「おねえちゃん・・何いきなり朗読してるんですか・・」

祐一「香里の出番、たぶんこれで終わりだな。」

佐祐理「それのどこが間違ってるんですか?主権在民ってことですよ?」

秋子「・・・・。」

名雪「まさか・・・『主権は、私水瀬秋子に存する』なんて言い出すつもりじゃないよね?」

秋子「・・・・・・・・。」

祐一「そうなんだな・・・。」

名雪「な、なに言い出すんだよ!おかあさん、ダメだよそんなの、Kanonファンは認めても、他のみんなが黙ってないよ、石原慎太郎よりたち悪いよ!」

秋子「まあ。それは嫌ね。」

名雪「全く、どうなっちゃってるんだよ・・・どうしてこんなに、にわか改憲派が多いんだよ・・・わたしどうしたらいいかわからないよ。」

香里「不景気でみんな感傷的になってるから。老人の戯言に流されやすくなってるのよ。」

祐一「あ、香里、朗読以外のせりふしゃべりやがった!」

香里「いけないの?!」

「でも、30代男性は昔から改憲派が多いですよ?」

香里「30代なんてあたしから見れば老人よ。」

祐一「俺から見れば、香里は30代だな。」

香里「なんですってえ!」

名雪「ふふふ祐一、おしおき追加、だよ。香里も一緒にやるよね?」

祐一「だから何で名雪が加わってるんだよ」

名雪「憲法の精神を守るためにわたしたちは戦うんだよ。その手始めが祐一へのおしおきなんだよ。団結だよ。連帯だよ。革命の闘志が燃え上がるよ。」

祐一「俺、憲法改正しようなんて一言も言ってないのに〜!」

名雪「始めるよ。」

佐祐理「あ、名雪さん。テープ、・・・どうします? ずっと回ってましたけど。」

名雪「うん、巻き戻してマシリトに渡してよ。」

佐祐理「ふえ・・・本気でこれ・・・渡すんですかあ?」

名雪「これを聞けば、9条改正とか靖国参拝とかいう考えはきっと捨てるよ。郵政民営化に全力を注ぐようになるよ。日本の夜明けは近いよ。ペンギン村に朝が来るよ。」

佐祐理「わかりました、名雪さんがそう言うなら・・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

タナカ「首相、女子高生からテープが届いたそうだけど?」

コイズミ「ああ、聞いたよ。」

タナカ「どういう内容だったの?」

コイズミ「いや、よくわからなかった。」

タナカ「あ、そう。」

コイズミ「しかし、改めてわかったよ。この国を一刻も早く建て直さないと、なんだかとんでもないことになるということが」

タナカ「ふーん」
 
 
 
 
 


あとがき
 

憲法ぐらい読もうぜ、たった103条文なんだからさ。
 
 
 

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