いつものように、二人で歩く通学路。
名雪「ねえ祐一」
祐一「なんだ?」
名雪「角の向こうに、ななぴーがいるよ」
祐一「あ?ああ、そうだな。」
名雪「ななぴーだよ」
名雪の目は、七瀬に釘付けになっていた。
名雪「ななぴー、ななぴーだよー。」
名雪の目は、それこそ甘いお菓子でも見つけたかのようなとろんとしたものになっていた。
名雪「かわいいよお。いって、おさげにぶらさがりたいよお。」
祐一「たしかにかわいいけどな・・・」
名雪の様子は、今にも七瀬の元に駆け出しそうなものだった。
祐一「って待てお前、お前確か、女の子じゃなかったか?!」
名雪「関係ないよっ!」
その剣幕は、とても名雪とは思えないものだった。
名雪「だって、ななぴーなんだよ!」
祐一「全然理由になってないぞ!」
七瀬に駆け寄ろうとする名雪を、俺は必死にくいとどめた。
名雪「祐一、嫌い!離してっ」
祐一「離したら七瀬のところに行くだろ!」
名雪「ななぴー、ななぴー」
こんな真剣な名雪を見るのは、俺は初めてだった。
俺は
名雪の好きなようにさせてやることにした。
女の子同士だから仲良くしちゃいけないという法もないし、なにより、名雪のこんな必死な姿を見れたのがうれしかった。
手を緩めると、名雪はあっという間に俺の元を離れて、駈けていった。
七瀬「って、ぎゃーっ!」
七瀬のお下げにぶら下がる名雪を見て、俺はつぶやいた。
祐一「幸せになれよ・・・・・」