Kanonむかしばなし

桃太郎

むかしむかしあるところに、祐一というごくごく平凡に見えて実は結構変な男の子が住んでいました。
ある日祐一が川に洗濯に行くと
アオコの発生を押さえるため、生活排水を出さないようにしましょう。
という立て札がありました。
しかし、祐一はそれを無視して、洗濯を続けておりました。
すると、上流の方から、大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
祐一「桃か・・・。桃は欲情の象徴、めくるめく愛の姿・・・。そういえば、桃ってアレに似てる・・・。」
等と言っているうちに、桃は流れ去ってしまいました。

そして桃は、川岸でカエルと戯れている女の子のところにやってきました。
名雪「ねこー、ねこー」
けろぴー「ねこじゃないっちゅーに!」
名雪「あ、大きな桃。もって帰ろ♪」
こうして桃は、なゆちゃんに連れ去られてしまいました。

秋子「大きなおでん種、買ってきたのね。」
名雪「桃はおでんにしないよ。」
秋子「じゃあ、刺身にしましょうか。」
秋子さんの手に握られた、岐阜県関市製の果物ナイフが唸りを挙げます。
しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃっ!
名雪「すごいすごい、あっという間に皮がむけたね♪」
すると桃の中から、一筋の縦の光が走り、桃は一向唐竹割のように真っ二つに割れてしまいました。
そして中からは、いかにも怪しい剣を握りしめた女の子が、立ちすくしていました。
女の子「・・・・・。」
秋子「あらあらお客さんね。にぎやかなのは大歓迎よ。」
名雪「違うと思うよ。」
こうして女の子は、水瀬家で育てられることになりました。桃から産まれた女の子なので、舞と名付けられました。

舞はすくすくと成長し、背が高くて剣の達人という、かっこいい女の子になりました。

そのころ、ほうぼうの村々を襲う、悪い鬼たちが出没していました。
鬼「全てはアラーの名の下に!これはジハードである!」
村人「なにおう。信教の自由とは、キリスト教の自由を言うのだぞ!」
おっと、これは検閲ものですね。
その話を聞いた舞は、一つの決心をしました。

「・・・私を鬼退治に行かせてください。」
秋子「了承。」
1秒で了承が出ました。
秋子さんは、旅立つ舞に、特製の黍団子を作って、持たせてくれました。
「・・・吉備団子じゃないの?」
秋子「福井県ですから。」
いつの間にかKanonの舞台が福井県にされていますが、秋子さんの言うことなので間違いはないでしょう。

こうして舞は、鬼退治の旅に出発しました。
途中、山から下りてきた犬さんに出くわしました。
犬「ガルルルル・・・・」
「・・・・・・。」
舞は、そこら辺にあったお地蔵さんで、犬さんをぶっ飛ばしました。そして、倒れた犬さんの元にしゃがみ込むと、自分の拳を差し出しました。
犬<がしがしがしがし
佐祐理「あの、手じゃなくて、良かったらこのお弁当、食べさせてあげたら?」
偶然通りかかった、名主の娘の佐祐理さんが、お手製の弁当を差し出しました。
「・・・・。(こくり。)」
犬「<がふがふがふがふ
佐祐理「あははーっ。全部食べちゃいましたねーっ。(^^;」
「・・・じゃあ、代わりに、これをあげる。」
そういって舞は、秋子印の黍団子を差し出しました。
佐祐理「あははーっ、おいしそうなお団子ですねーっ。」
佐祐理さんは、団子を一つ食べました。
「・・・私これから、鬼退治に行く。軍資金寄付してくれると嬉しい。」
佐祐理「鬼退治ですかーっ?おもしろそうですね、佐祐理も参加しますーっ。」
「・・・寄付だけでいい。」
佐祐理「大丈夫ですよっ。こう見えても、佐祐理は運動神経いいんですよーっ。」
こうして佐祐理さんが、舞の家来になりました。

舞と佐祐理さんが歩いていきます。すると、木の上から女の子が落っこちてきました。
あゆ「・・・・・・。」
何かいいたそうですが、脳震盪を起こしているので、なにも言えないようです。
「・・・佐祐理、黍団子。」
佐祐理さんは、秋子印の黍団子を、無理矢理あゆの口に押し込みました。するとどうでしょう、瀕死と思われた少女が目覚めたのです。
あゆ「あ、ありがとう・・・。お礼にこのたい焼きあげるねっ」
「・・・いらない。」
佐祐理「あははーっ。さっきカロリーメイト食べたから、今はいりませんよーっ。」
「・・・カロリーメイトじゃない。黍団子。」
あゆ「じゃあ、いるときまでボクが持っておくねっ」
こうして、あゆが二人目の家来になりました。

舞と佐祐理さんとあゆが歩いていきます。すると、前から香里が歩いてきました。
香里「そ、その腰についているものは・・・・。」
「・・・猫じゃらしの鈴。」
真琴「あう〜、あう〜」
香里「狐じゃらしじゃないの。て、そうじゃなくて、その黍団子は、もしや!」
「・・・秋子印の黍団子。非売品。」
香里「やっぱり。教授はまだ、生きているのね。あなた、教授を知ってるんでしょ?」
「・・・誰、教授って?」
香里「隠すつもりね。いいわ、あなた達についていけば、教授のことが何かわかるかもね。」
こうして、香里が3人目の家来になりました。

長い長い、というほどのものでもない道を歩いて、鬼ヶ島の見える海岸にやってきました。
「・・・舟がない。」
佐祐理「大丈夫ですよーっ。お父様が誘致した、『一見普通の道路だけど実は農道』な橋がありますからーっ。」

こうして舞たちは、鬼ヶ島に上陸しました。
「・・・鬼ども、覚悟。」
舞は、.356秒で鬼たちを殲滅してしまいました。
久瀬「くそ、ゆるさんぞ川澄舞。」
北川「うう・・・これだけしか出番がないなんて、また再就職先探さなきゃ」
祐一「俺って、爺さん役だったはずなのに・・・。」
舞たちは、鬼の奪った財宝や、鬼の連れ去った婦女子を奪還し、村に意気揚々と引き上げました。

普通ならここで財宝を着服したり、婦女子を手込めにしたりするものですが、舞はそうしませんでした。
その清廉潔白さが買われて、村民グループから藩知事選に担ぎ出され、倉田家の支援も得て見事当選。剣の殿様として、民から慕われるようになりました。
しかし、多忙を極める政務は、次第に舞の心を圧迫し、どんどんストレスがたまっていきました。そしてある日舞の秘められた力が解放され、魔物を生み出してしまったのです。それ以来、夜な夜な魔物が村々を襲うようになり、結局民は元の不安の生活を送るようになってしまったのです。

めでたしめでたし
 
 

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