Kanonむかしばなし

一寸法師

むかしむかしあるところに、祐一と名雪という、仲の良いいとこ同士がが住んでいました。
祐一は、名雪と子供を作りたいと思っていましたが、
名雪「くー」
なかなか作らせてもらえませんでした。
そこで祐一は、神様にお願いしました。
祐一「神様、どうか俺に、名雪と子作りをするチャンスを与えてください。」
神様「了承。」

翌朝、祐一と名雪が目覚めると、食卓に小さな小さな女の子が座っていました。
子供「うぐぅ、おなかすいたよぉ〜」
祐一「誰だお前。何でうちの食卓にいる。」
子供「神様がね、ボクにこのうちの子になれって。」
どうやら神様は、祐一の願いを、「単に子供が欲しいだけ」と解釈したようです。
祐一「うおおおお!俺には他にしたいことがあったのにぃ!」
今更叫んでもどうにもなりません。ふたりは子供をあゆと名付け、育てることにしました。

そしてあゆはすくすくと育ちませんでした。いつまで経っても小さいままでした。
祐一「これではお前、いつまで経っても小学生並だな。」
あゆ「そんなことないもんっ!」
慄然としたあゆは、祐一を見返すため、自活の道を選びました。
祐一「ほんとに行くのか、あゆ。」
あゆ「ボク、決めたんだ。」
名雪「夕飯までには戻ってくるのよ。」
おきまりのパターンを経た後、あゆは旅立ちました。

あゆはとりあえず、首都京都を目差すことにしました。大都会京都なら、何か職にあり就けると思ったのです。
しかし、小さいあゆには、京都まで歩くのは、あまりにも過酷なものでした。そこで、電車に乗って行くことにしました。
あゆ「ボク幼稚園児だから、運賃タダだよね?ね?」
こうしてあゆは、無賃乗車で京都に着きました。

京都に着いたあゆは、早速コンビニで就職情報誌の立ち読みを始めました。すると、「議員令嬢のボディーガード。時給506円。住居、食事つき」という求人がありました。
あゆ「これこれっ。何てったって、住居食事付きってとこがいいよっ。」
命を危険にさらすボディーガードの仕事にしては異常に時給が低い気がしますが、あゆはそんなことは気にしていないようでした。

面接会場に行くと、あゆの他に、髪の長い剣士風の人も来ていました。
「・・・・・・。」
しかし他に人は来ていないようでした。ボディーガードであの時給じゃあ、無理もないでしょう。
そして、面接が始まりました。
倉田議員「君は、剣士かね?」
「・・・・・。(こくり)」
倉田議員「よし、採用。さあ、こっちに来たまえ。」
あゆ「あ、あの、ボクは・・・?面接もまだなんだけど。」
倉田議員「悪いが、小学生を雇うと福祉事務所がうるさいんだ。」
あゆ「ボク、16歳だもんっ!」
倉田議員「それは失礼。しかし君は、ボディーガードには向いて無さそうだしねえ・・・。」
佐祐理「じゃあ、佐祐理のペットって事でどうですか?。」
倉田議員「佐祐理、軽々しくペットなんて言葉を使ってはいけない。表向きは、お友達といいなさい。」
佐祐理「わかりました。さあお嬢ちゃん、今日からあなたは佐祐理のお友達ですよーっ。」
こうしてあゆは、倉田家にお友達として居候することになりました。お友達なので、当然時給は0です。
あゆ「いいもん。とりあえずご飯と住むところがあれば。」

ある日、佐祐理お嬢様がお出かけをすることになりました。お友達のあゆとボディーガードの舞も、当然一緒です。
すると、悪い鬼たちが、待っていたかのように現れました。
北川「待ってたんだよ、待ってたんだよ俺の出番を」
久瀬「さあお嬢さん方、身ぐるみ剥がせてもらうぜ。」
佐祐理「いやです。」
「・・・・・・・。」
舞は、0.356秒で鬼どもを瞬殺・・・しようとしましたが、その前に鬼たちが打ち出の小槌を振っていました。打ち出の小槌は、振ったものの願いを実現可能な範囲で叶えるという、ドラえもんのポケットから出てきたような道具なのです。
北川「はっはっは、これでお前らは我々に勝てない・・・って、何で裸の美女が出てくるんだ。」
久瀬「馬鹿者、やり直せ」
鬼どもが打ち出の小槌をもう一度振ると、何という事でしょう、あの伝説の名刀「水瀬木刀」が出現したのです。
久瀬「はっはっは、この『水瀬木刀』は、消火器をもかち割るほどの破壊力を持っているのだ!これでもう、お前らに勝ち目はない!」
「・・・・・・。」
舞は身構えたまま、動こうとしません。状況をよく理解ししているためでしょう。しかしあゆは、状況を全く理解していませんでした。
あゆ「わあすごい。それ、ボクにも貸して〜」
そういって、とてとてと鬼どもに向かって走って行きます。
久瀬「な、なに、この状況でなお我らに立ち向かってくるとは・・・。」
そう言いながらも、とりあえず避けます。
ずしゃっ。
鬼が咄嗟に避けたので、あゆは転んでしまいました。
しかし。
「・・・・隙あり。」
あゆを避けたことで対峙位置の均衡が崩れ、鬼どもに隙ができてしまったのです。そして次の瞬間、舞が鬼どもを抹殺していました。
北川「また、再就職先探さなきゃ・・・。」
「・・・よくやった。」
あゆ「えへへ〜、よくわかんないけど、うれしいよ〜。」
鬼どもが倒れている脇には、打ち出の小槌が残されていました。
佐祐理「そうだ、これを使って、あゆを大きくして遊びましょうよーっ。」
あゆ「うぐぅ、遊びじゃなくてほんとに大きくして欲しいよお・・・」
佐祐理「あははーっ。・・・あれ、打ち出の小槌は?」
「・・・おなかすいた。」
いつの間にか舞が、打ち出の小槌を振っていました。すると、牛丼が現れました。
「・・・牛丼、おいしい。」
佐祐理「あははーっ・・・。じゃあ、今度こそ、あゆを大きくしましょうねーっ。」
そう言って佐祐理さんは、打ち出の小槌を振りました。
しかし、あゆは大きくなりませんでした。
あゆ「うぐぅ・・・どうして?」
香里「打ち出の小槌はね、3回までしか願いを叶えることができないの。もう一度機能回復させるには、取れてしまった羽を付け替えなきゃいけないのよ。」
佐祐理「誰ですかあなた?」
香里「通りすがりの優等生よ。ちなみに、私はその、羽の付け替えのできる職人も知っているわ。」
あゆ「じゃあ、そこに連れて行ってよっ。」

通りすがりの香里に連れて行かれた先は、祐一と名雪のおうちでした。
あゆ「職人さんって、祐一君のことだったんだ・・・。」
香里「まさか。職人は名雪の方よ。」
名雪「ねえ、何で小槌なのに羽がついてるの?」
佐祐理「余計なことは考えなくていいんです。仕事にかかってください。」
名雪「時間かかるよ。わたし、ねむい。」

名雪「おまたせ。」
佐祐理「3日もかかるなんて、さすがですねーっ。」
「・・・褒めてるの?」
佐祐理「もちろんですよーっ。さあ、早速試してみましょーっ」
佐祐理さんが、打ち出の小槌を振りました。
しかし、やっぱりあゆは大きくなりませんでした。
あゆ「うぐぅ・・・・どうして?」
香里「やっぱりね。打ち出の小槌は、『実現可能な願い』しか叶えられないのよ。」
あゆ「ボクが大きくなるのは、実現不可能なの?やっぱりそれは、そういう設定だから?」
香里「そうじゃないの。人間の体はね、非常識なほど緻密で精巧な生物機械なの。だから急に無理に大きくしたりすれば、体のどこかに不整合が出るのは当然。下手すりゃ死亡。そしたら、全国のあゆ萌え同盟の活動家が暴動を起こすでしょ。そうなったら、2000年の沖縄サミットは開けなくなるわ。」
あゆ「なに言ってんのかよくわかんないけど・・・要するに、ダメって事?」
香里「そういうこと。」
「・・・あなたは知ってたの」
香里「まあね。」
あゆ「だったら、最初にそう言ってくれれば。」
香里「あたしには、このうちでの小槌を直さなきゃならない理由があったのよ。病気の妹が、うちで待ってるからね。それじゃ、小槌はもらっていくわね。」
そう言って香里は、小槌を持って逃走してしまいました。

その後あゆは、大きくなるために、毎日牛乳を36g飲まされ、一日16時間の剣技訓練を受ける生活を送ることになるのでした。
佐祐理「カルシウムは骨の成長に必要ですからーっ。」
「・・・運動も必要。」
あゆ「うぐぅ、きついよ〜、死ぬ〜」
 

めでたしめでたし
 
 


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