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杏の料理

 
(テーマソング)
 
 杏 
「皆さんこんにちは。藤林杏です。」
風子
「アシスタントの伊吹風子です。ちなみにアシスタントといっても、丘野さんや藤井さんのような仕事しているわけではありません。」
 杏 
「何いきなりボケかましてるの?」
風子
「最初のつかみが肝心と思いましたので。」
 杏 
「あなたがつかむとか言うと、何故か卑猥に感じちゃうのよねえ・・・」
風子
「つかむという言葉の、どこが卑猥なんですかっ。」
 杏 
「え? そ、それはその・・・。何というか、つかんじゃうモノがアレだから・・・」
風子
「アレって何ですか。ちっとも分かりませんっ。納得のいく説明をしてくださいっ。」
 杏 
「いや、今ここで言っちゃうのはちょっと・・・カメラの前だし。」
風子
「そんなカメラの前で言えないような理由で風子を侮辱したのですかっ。もう、先生はとっても失礼ですっ。アシスタント辞めたくなりました。」
 杏 
「ま、まあ落ち着いて。あたしが悪かったから。」
風子
「わかりました。風子大人だから、今回の件はなかったことにします。」
 杏 
「じゃあ、仕切り直しということで。」
風子
「はい。それでは。先生、むさ苦しい季節がやってきましたね。」
 杏 
「むさ苦しいとはあまり言わない気がするけど・・・。そうね、もう梅雨入りしちゃったしね。」
風子
「でもなぜか晴れの日が続いたり。天候不順で、とてもイヤな気分です。きっと、気が滅入ってしまう人もいるかと思います。」
 杏 
「そうね。そんなときは、やっぱりお料理。男の料理でストレス吹っ飛ばして、爽快な気分で夏を迎えましょう!」
朋也
「って、待て、これは一体どういう事だ! 何で俺、こんなところで縛って机の上に寝かされてるんだよ!」
 杏 
「あら、気がついたのね。」
朋也
「あら、気がついたのね。じゃねーよ! 何なんだよこれは、後ろから羽交い締めにされて変な薬かがされて、気がついたら縛られてるし。何のつもりか説明ぐらいしろよ!」
 杏 
「さっきの話、聞いてなかった? 男の料理って言ったでしょ。」
風子
「つまり、岡崎さんを料理するんですね!」
朋也
「え、ちょっと待ってくれ、それ、どういうこと?」
 杏 
「まあ、大人しくしてればすぐわかるわ。出来るだけ手早く済ませるようにするから。」
風子
「料理は手早さが肝心なんです。素材の鮮度が落ちますから。」
朋也
「いやだから、そういう一方的に料理とか、そういうのはちょっと。俺に拒否権とかそういうものはないのかということを確認したいんですけど」
 杏 
「無いわ。じゃあ、始めましょうか。」
朋也
「即答?!」
 杏 
「じゃあ、まずは基本の3枚おろしからね。」
風子
「最近の若い人は、これが出来ないと聞きます。」
 杏 
「そうね。お店でおろした調理済みの男を使ったり、そんな事するくらいなら男なんか食べないっ、とか言って逃げたりするわね。」
朋也
「て言うか、調理済みの男ってなんだよ・・・」
 杏 
「でも、コツを覚えればそんなに難しい事じゃないわ。やっぱり、自分の手で一から料理した男が一番おいしいものよ。」
風子
「腕によりけりだと思いますっ。」
 杏 
「まあ、そういう現実論は脇に置いといて。」
朋也
「現実見てくれ・・・」
 杏 
「3枚おろしというのは、つまり、着ている服を3枚降ろすって事ね。ズボン、靴下、パンツ、で3枚。これを全部降ろします。」
朋也
「なんじゃそりゃ」
風子
「異議あり! 靴下は2枚で一足だから、全部降ろしたら4枚になると思いますっ!」
 杏 
「あ・・・そうよね。」
朋也
「それなら、パンツを無しにしてくれ。靴下とズボンで、3枚。それくらいなら・・・」
 杏 
「じゃあ、靴下は片っぽだけ降ろすことにしましょう。それで3枚になるわ。」
朋也
「なんでそうなるんだよ!」
 杏 
「やめてくださいと泣いて懇願されて、せめてもの情けで靴下だけは脱がせかけで残してあげる・・・ふふ、そんなシチュエーションもそそられるわね・・・」
風子
「・・・・。」(恍惚)
朋也
「あの、君たち・・・?」
 杏 
「よしっ! 始めるわよ。」
朋也
「え? いや待て。待てよ。冗談じゃない。俺こんなの嫌だってば。しかも、靴下片っぽだけなんて、そんな恥ずかしい格好にされてたまるかよ!」
 杏 
「さっき拒否権はないって言ったでしょ。おとなしくおろされなさい。」
朋也
「だから、そんな理不尽な話認められないって言うの!」
風子
「暴れないでください、おろせませんっ!」
朋也
「脱がされないために暴れてるんだよっ!」
 杏 
「ったく、しょうがないわねえ・・・」
どすっ
朋也
「ぐはっ・・・」
風子
「なるほど、材料が暴れたときは、みぞおちに肘を一発・・・。」
 杏 
「本当は素材が痛むから、あまりやりたくないんだけど。ま、この場合はしょうがないわよね。」
朋也
「しょ・・しょうがないって事・・・あるかよ・・・・」
 杏 
「それじゃさっさとおろしちゃいましょうね。」
風子
「はい、降ろしますっ」
朋也
「や、やめてくれ・・・・」

(調理中。しばらくお待ちください。)

朋也
「うっうっうっ・・・」
 杏 
「あ、これが、朋也の・・・そう、えーっと、これはさすがに、放送したらまずいかしらねえ」
風子
「ああ、今風子の視界に、今まで見たこともないものが映っています。とても衝撃的な物体ですっ。先生、これはいったい、何なのですか?」
 杏 
「え?! 何って、その、、何でそこであたしにフる訳?」
風子
「藤林さんが講師で、風子はアシスタントだからです。講師は訊かれたことに対して説明する義務と責任があるのです。」
 杏 
「え、で、でも・・・あなた、これくらい知ってるでしょ?」
風子
「はい、何となくですが知っています。しかし。アシスタントは、知ってることでも知らないふりして講師に訊かなければならないのです。視聴者からバカにされることがあっても、ぐっと堪えなければならないのです。それが大人の仕事というものです。で、先生、これは一体なんですか?」
 杏 
「そ、それは・・・。なんというか、そう、いわゆる男と女の体の違いというか・・・。」
風子
「そうなんですかっ?! これがそうなのですかっ! 知りませんでしたっ。風子、てっきり、こういうのはもっと大きいものだと思ってましたっ。常識が覆されましたっ!」
朋也
「お願い、そういうことは言わないで・・・・」
 杏 
「ま、まあ見慣れないものだから、ショックを受けるのは仕方ないわよね。正直あたしだって始めてのようなものだし・・・」
風子
「で、先生、これはどうするのですか? 切って捨てるのですか?」
 杏 
「え? それはだめよ、ちゃんと残さず全部食べないと。」
風子
「食べるのですかっ!」
 杏 
「そうよ。ちょっと抵抗があるかもしれないけど、グロテスクなものほど美味いともいうし。サンマの腸とか、マグロの目玉とか。」
風子
「なるほど。大人の味なんですね!」
朋也
「なんだか洒落にならねえ・・・」
風子
「それで、どうやって食べるのですかっ? 生のままですか? それとも、塩で揉んだりするのですか?」
朋也
「塩はやめて・・・」
 杏 
「そうねえ・・・。やっぱりこの季節だし、さっぱりとロースト風にしましょう。」
風子
「火であぶるのですか?」
 杏 
「うーん、それもおもしろそうだけど。でもこの年頃の男なら、ほっといても勝手に自分で熱くなってくれるでしょ。」
朋也
「ひ、ひどい・・・。あんまりな言われようだ・・・・。」
 杏 
「あぶられたいのかしら?」
朋也
「・・・勝手に自分で熱くなりますから、あぶる必要はないです・・・」
 杏 
「うんっ、よろしい。じゃあ、熱くなりすぎないように氷漬けにでもしておきましょうか。」
風子
「夏向きな涼しい料理になりそうですねっ」
 杏 
「さて。ここからは仕上げに入るわけだけど。風子、肉や魚には、特有の臭みというものがあるわけだけど。そういうものはどうする?」
風子
「そのままが好きという人もいますが、普通はコショウやショウガで臭みを消します。」
 杏 
「そう。で、ここにいる岡崎朋也という男も、一癖も二癖もあって普通の女の子が食べるにはちょっときついところがあるわけだけど。」
風子
「なるほど。だから香辛料で仕上げる必要があるわけですねっ」
 杏 
「その通り。好みにもよるけど、ちょっとキツ目にしておいた方が、後腐れとかの心配がなくなるわよ。」
朋也
「ちくしょう・・・ふざけた真似してくれやがって・・・後で然るべきところに訴えてやる・・・」
 杏 
「とーもやっ。気分はどお?」
朋也
「最悪だよ。訊くまでもないだろ!」
 杏 
「あらあら、ずいぶん反抗的ねえ。」
朋也
「こんなことされて、おとなしく黙ったままだと思ったら大間違いだぞ!」
 杏 
「あらそう。まあ、何を企んでるのか知らないけど、ちょっと話聞かない?」
朋也
「あん?」
 杏 
「朋也、あそこに見えるの何かわかる?」
朋也
「え、カメラ・・・だろ?」
 杏 
「そう。今日のお料理の様子、全部あれで撮ってたのよねー。でね。話変わるけど、来週視聴覚室に女の子集めて、上映会開こうって話があるのよ。でも、何を流すかまだ決まってないのよねー。」
朋也
「そ、それがどうしたんだっ」
 杏 
「みんなお料理とかとっても興味あるしー。そういうビデオならみんな見たがると思うのよねー。」
朋也
「・・・・。」
 杏 
「で、どうするって?」
朋也
「・・・ビデオ流さないでください。」
 杏 
「ん? んー、どうしようっかなー。代わりの探さないといけなくなるしー。」
朋也
「なんでも言うこと聞きますから・・・」
 杏 
「そうねえ・・。どうしよっか、風子?」
風子
「風子の言うことも聞きますかっ?」
朋也
「え。それは・・・」
 杏 
「んん? それが返事?」
朋也
「いえ・・・言うこと聞きます・・・・お二人の言うこときかせていただきます・・・・・」
風子
「なるほど。きつさがとれて、とても素直になりました。」
 杏 
「ま、あたしとしてはもっとスパイスきかせた方が好みなんだけど。今回は一般向けってことで、このくらいにしておきましょうか。」
朋也
「これで一般向けなのかよ・・・」
 杏 
「ん? 何?」
朋也
「いえ、なんでもないです・・・。ところで、もうこれで終わりなんですよね・・・?」
 杏 
「うーん、手順自体はこれで終わりなんだけど。」
風子
「味をしませるために、このまましばらく寝かせておく必要があるんですっ」
朋也
「え?」
 杏 
「でも番組の方は時間に限りがあるので、料理番組でよくある『数時間前にあらかじめ作っておいたもの』を持ってきてもらうことにしましょう。」
朋也
「って、ちょっと待って、これって放置プレイ?!」
風子
「それでは、もう一人のアシスタントさん、お願いしますっ」
ガラガラガラ
 椋 
「はい、もう一人のアシスタントの藤林椋と、私があらかじめ作っておいた料理です。」
陽平
「よう。」
 杏 
「・・・・。」
風子
「・・・・・。」
 椋 
「あの・・・。どうかされたんですか?」
 杏 
「うん・・・。あのね椋。作っておいてくれたのはいいんだけど。何でコイツが材料なの?」
 椋 
「えっと・・・若い男の人が材料ということでしたので・・・それで」
 杏 
「若けりゃいいってもんじゃないわよ。あんた、材料見る目無いの?!」
陽平
「その言い方って、あんまりじゃない?!」
 杏 
「それに、事前の打ち合わせでは勝平君を材料にって話だったでしょ。彼どうなったの」
 椋 
「あ、あの、それなんですけど、やっぱり、勝平さんは私のものですから、他の人がどうこうするというのは、ちょっと・・・・」
 杏 
「・・・。」
 椋 
「あ、それに本当のこと言うと、勝平さんは夕べ私が料理して、そのまま食べてしまったので・・・だから使いたくても使えないんです。」
風子
「・・・・。」
 椋 
「・・・えへ。」
 杏 
「えへ。じゃ、なーいっ! ああ、なんか急速にむかついてきた! 暴れていい? ねえ、暴れていいっ?!」
風子
「落ち着いてください先生、まだ収録中ですっ」
 椋 
「えっと・・・収拾がつかないようなので、私が引き取ります。杏の料理、いかがだったでしょうか。これから来る夏に向けて、皆様の有意義な生活の一助になればと思います。それでは次回まで、ごきげんよう・・・・」
 
(テーマソング)
 
 
 
制作著作:CLANNAD-K

 
 
あとがき
 テキストのお求めは、お近くの同人誌ショップで・・・・いや売ってないですごめんなさい
 
 2004年6月15日執筆
 
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