2005年夏。経済格差と価値観の対立で混迷する日本に、一人の救世主が現れた。史上最年少美少女総理、遠野美凪である。
「・・・ぽ。」



総理と呼びたくない






 臨時国会冒頭、初閣議にて   
「・・・国民の支持を背景に誕生した我が内閣には、断固たる改革の道しか選択肢はありません。」
「以前にもそういうことを言って、結局抵抗勢力とやらに取り込まれてしまった首相がいたな。」
「・・・私はそのような人とは違いマース」
「で、改革と言うが。具体的には何をするんだ。」
「まずは・・・大胆な経済構造改革を行います。」
「ほう・・・で、その内容は?」
「・・・管理通貨制を廃止し、米本位制を導入します。」
「・・・ナニ?」
「市場万能の時代はもう終わりました。国際通貨市場は国力の実態に合わない相場形成しかしません。今こそ、日本の通貨は外国通貨との相対主義を廃し、米を基準とした独自制のある強い通貨を目指すべきなのです。」
「いや待て・・・通貨市場の妥当性はともかく、農作物を通貨の基軸に据えるというのは・・・」
「何か問題でも?」
「いや、それはやっぱり、前例が無いし・・・」
「それに、米のような永久保存のできないものを政府保証するというのは・・・」
「・・・前例が無いことはありません、江戸時代には、日本は米本位制でした。」
「いや、それはちょっと違う気が・・・」
「あれって米本位制かなあ・・・?」
「・・・それに、昭和時代には米の供給保証も行われていました。保存できなくても、保証ができれば良いのです。」
「そういう問題だろうか・・・」
「・・・とにかく。この米本位制は、私の目玉政策です。反対の閣僚はこの場で罷免します。・・・オッケー?」
「なんて横暴な!」
「発足直後でいきなり閣僚罷免なんて、非常識だぞ!」
「・・・そう言われましても。」
「とにかく考え直せ」
「・・・嫌です。」
「総理!」
「・・・米本位制反対の人は罷免です。辞めたい人はいますか?いませんね?はい、閣議ケッテーイ」
「・・総理!」





「総理! 先日の米本位制導入発表で、経済は大混乱だ!」
「株価も金利も暴落している。そのうち潰れる会社も出て来るぞ。」
「・・・まあ、倒産ですか?」
「そうだ。中には日本を代表するような大企業も候補に上がっているぞ。どうする?」
「・・・潰れる会社は、潰してしまえばいいんです。いえむしろ、倒産大歓迎。」
「そう、なのか?」
「総理はハードランディング派か・・・てっきり、ソフト派かと思っていたが」
「・・・いえ。私だって、始めてはハードよりソフトの方がいいです・・・」
「何の話だ。」
「とにかく。いきなり全部潰せば失業率倍増では済まないし、世界恐慌の引金にもなりかねないぞ。それでもいいんだな?」
「・・・トロンエンロンもっちろん。」
「そこまでいうからには、相当の覚悟と理由があるんだろうな。一体なんだ」
「・・・だって。私、『おとうさん』大好きですから・・・」
「今の発言、議事録から削除。」






「総理! 生活困窮者が続出してるぞ!!」
「まあ・・・・」
「おい。何でそこで俺を見る。」
「いえ別に。」
「どうする総理。何も手を打たないわけには行かないぞ。」
「・・・そうですね。では、お米券を配布しましょう。」
「事実上の現金給付か。」
「先の米本位制の導入で、お米券は実質通貨と同格になったからな。」
「しかし、財源はどうする。法人税収入が激減していて、予算に全く余裕は無いぞ。」
「・・・のーん、ぷろぶれむ。お米券ならここに・・・」
「いや、お前の服にある分じゃとても・・・」
「・・・とりあえず、136枚。」
「だから、それじゃ全然足りないって!」
「・・・まあ、そうなんですか? では、もう少し念を入れて探してみます・・・」
「いやだから、そういう問題ではなくてだな」
「だめだこりゃ」





「総理! 内閣支持率が激減してるぞ!!」
「・・・まあ、何故?」
「なぜって・・・考えなくてもわかる気がするが。」
「まあ敢えて言うならば、経済失政が続いたと言うことだな。」
「何とか手を打たないと、反首相派がまずます勢い付くぞ!」
「まあ、手を打つ・・・てうち・・・ぽ。」
「おい、お前今何か、とてつもなく変な想像してるだろ。」
「しかも手を打つの意味を間違えてるっぽいしな。」
「あ、いや、そんな、私まだ心の準備が・・・」
「心の準備ができる程、国民は待ってくれないぞ!」
「いや、今のはそんな風に真面目に応答する部分じゃないだろ」
「ああん、わたくし、こんなこと始めてですのに・・・」
「前例が無いからと言って何もしないでいるわけには行かないぞ総理!」
「やっぱり、始めてはやさしく、でもちょっぴり意地悪に・・・」
「・・・今日の閣議、どうする?」
「流会だろう。」





「総理! 野党が内閣不信任案を提出すると言ってるぞ!!」
「与党内にもかなりの同調の動きがある!」
「『アホ総理の乱行をこれ以上許すな!』とか、気勢が上がってるらしいぞ」
「・・・・。」
「どうするんだ。このままじゃ、不信任案可決だぞ!」
「・・・そうですね。大変なことですね。」
「こいつもようやく、事態の深刻さを理解したか・・・」
「だって。子どもができないなんて、女性としては辛いものがあるんですよ。」
「・・・は?」
「そう、一番辛いのは、不妊症を抱えた本人なんですよ。それなのに、姑や夫ときたら、いたわるどころか厭味まで言うと言うじゃないですか。人として最低ですね。」
「いや、その・・・」
「・・・何か間違いでも?」
「間違ってる! 不妊娠じゃなくて、不信任! 何でそういう間違いをするんだ、わざとか?!」
「・・・心外です。」
「わざとじゃないならよけい質が悪い気がするな・・・」
「・・・私、どうすればいいんでしょうか・・・?」
「どうにも手の打ちようがない気がしてきたが・・・とりあえず、記者会見でも開いて意気込みと執行能力を見せてやったらどうだ?」
「いえっ、さー。」



「・・・とりあえず、日本の国歌は君が代なんかよりしゃぼん玉の歌の方がいいと思うんです。これを実現するまで、総理辞められません。」
 
「・・・・どう思う?」
「微妙だな。」
「そうか・・・? どちらかというと、事態は悪くなった気がするのだが。」
「とりあえず、座して不信任案の採決を待つか」
 



「賛成268、反対197。よって本院は、内閣不信任案を可決いたしました   
 
「・・・国を変えるのって、難しいんですね・・・・。」
「・・・そうだな。」
 
 
 
 
あとがき:
打倒小泉政権 打倒アベ自民党   (←※2015年12月書き換え) 
 
 
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