美凪「今日はお正月の風景を激撮激撮ぅ」
美凪「日本の家族の団欒の一時、このカメラに収めて見せます。」
みちる「美凪、なに一人でぶつぶつ言ってるの?」
美凪「フジカラーのCM、観月ありさじゃなくなったんですね。美凪がっかり。」
みちる「だいぶ前から田中麗奈だよ。」
美凪「・・・ではまず、神尾家に潜入、スクープ!」
みちる「え?あ、ちょっと待ってよ」
美凪「私は今、神尾家の中に入っています。」
美凪「おうちの人の了解は、得ておりません。」
美凪「こういう行為は不法侵入と言って、犯罪なんですよ。」
美凪「よい子はやってはいけません。」
みちる「え?そしたらみちる、悪い子になっちゃったの?」
美凪「そう、悪い子。」
みちる「ううう・・・」
美凪「嗚咽を漏らしてはいけません。気づかれちゃうでしょ」
晴子「ん?なんや天井におるんかいな。」
往人「ふがふが」
観鈴「きっとオオニシキヘビさんだよ。エサが無くて、どこかにカラスの雛でもいないかなってさまよってるんだよ。にはは」
そら「ぎゃーっ、ぎゃーっ、ぎゃーっ!」
観鈴「わ。そら逃げなくてもいいよ。冗談だから」
晴子「だいたいこの時期、蛇は冬眠中やろ。おるわけないやん」
往人「ふがふが」
晴子「それより酒や酒。折角めでたい日なんやから、のまんとな。居候も食ってばかりおらんで、飲め。」
往人「ふがふが」
観鈴「わ、逃げた。」
晴子「ちっ、あら食い逃げっちゅうやつやな。全く、ゲームちゃうちゅーねん。しゃあない、観鈴ちゃん、一緒にのも」
観鈴「わたし、未成年」
晴子「2000年はとっくに終わったっちゅーねん!」
観鈴「そうじゃなくて、ハタチ未満・・・」
晴子「21世紀になったら誰だって成人や!常識や!」
観鈴「そんな話聞いたこと無い・・・」
晴子「今聞いたやろ。オッケーや。お母ちゃんと親子水入らずで飲もうな」
観鈴「わ、だからってこれ原液・・・」
美凪「・・なるほど、泡盛ですね。」
美凪「泡盛の水で割っていないそのままの状態のものを、原液って言うんです。」
美凪「ちなみに荒野草途伸は原液も水割りもだめです。カルピスが一番ですね。」
みちる「美凪、誰に向かって言ってるの?怖いよ・・・?」
美凪「それでは、お正月の親子の団らん風景を一枚。ぱしゃり
。」
みちる「美凪、もしかして無視した?」
美凪「さて。次は霧島診療所に行きましょうか。」
美凪「あそこは元々年中お正月みたいなものですけどね。」
美凪「いつだって開店休業状態ですし。」
美凪「おめでたいひとばかりですし。」
みちる「美凪って、聞かれたらやばいことさらって言うよね。」
美凪「それでは潜入。カメラは見た、霧島診療所の正月。」
みちる「・・・なんか暗いよ?」
美凪「当然です、天井裏にいるんですから。」
みちる「そうじゃなくて、部屋の中が」
往人「なあ。」
聖「なんだ。」
往人「正月早々から、俺たちはなにをやってるんだ?」
聖「儀式だ。」
みちる「あ、国崎往人。こんなところに来てたんだ。」
往人「何で正月早々から、こんな暗い儀式をやらねばならん。」
佳乃「えー?だってお正月って言ったら儀式だよぉ」
聖「そういうことだ。」
往人「なにもこんな暗い儀式でなくてもいいだろ!」
聖「言うな。我が家の伝統なのだ。」
美凪「・・・なるほど。伝統で、電灯をはずしてるんですね。」
美凪「ぷ。今の最高。」
みちる「全然。」
美凪「・・・がっくし。」
佳乃「あれ?なんか天井から物音がするよぉ?」
聖「どうせゴキブリだろう。気にするな。」
往人「こんな真冬にゴキブリがいるのか?」
聖「いてもおかしくはないだろう。沖縄の冬はゴキブリでうじゃうじゃだぞ。」
往人「ここ沖縄じゃないだろ!」
聖「細かいことを気にするな。ハゲるぞ。」
往人「ふ。そんなものは迷信だ!(びしっ)」
聖「確かに。迷信といえ無くもない。だが、今ここで私がこの手で君の頭をハゲにするのは、簡単だぞ?」
往人「お願いですからやめてください。」
佳乃「うっわー。明るくなってみたら、往人君ハゲなんだあ。ビックリだあ。」
聖「ほほう。どうやら佳乃は、君にハゲになってもらいたいみたいだぞ。」
往人「だから、やめてくださいってば。」
美凪「まあ、往人さんってば、すっかりあの二人に敷かれちゃって。」
美凪「・・・でも、ああいうのも好きな人にとってはいいんでしょうね。」
美凪「・・・・ぽ。」
みちる「美凪。変な妄想してないで、写真写真。」
美凪「まあ、そうですわね。では、題して「霧島診療所、禁断と背徳のお正月」。」
みちる「なんでそうなるの。」
ぱしゃり
聖「ん?何か天井で光ったな。」
佳乃「きっとバギ星人の侵略だよ。21世紀になったから、いよいよ自分の時代だと思いこんでるんだよ」
往人「なにぃ!そういつは一大事だ、今すぐ外に逃げ出さないと!ヒィヤオ!」
佳乃「あ、往人君逃げ出しちゃったよ。」
聖「最後の叫びはなんなんだろうな。」
美凪「では。私たちは往人さんを追いかけましょうか。」
みちる「わお!おいかけっこだー」
往人「ふ。逃げてやったぜ・・・」
ぱしゃり
往人「ん?なんか今変な音がしたような」
ぱしゃり
往人「・・・気のせいか。」
ぱしゃり
往人「ふ。俺ってかっこいいな。」
ぱしゃり
往人「アーノルドシュワルツェネッガー」
ぱしゃり
往人「コマネチ」
ぱしゃり
往人「ふしぎの海のナディア」
ぱしゃり
往人「ってわけわからんっちゅーに!出てこい!」
美凪「あらら・・・見つかってしまいました。」
みちる「じゃあつぎは、みちるたちの鬼だね。」
往人「お前は元々オニだ。」
みちる「んに?」
往人「いや、なんでもない。それより、何か食い物はないか?腹が減ってるんだ」
みちる「さっきかみかみの家でさんざ食ってたくせに。」
往人「何で知ってる?」
みちる「それはねえふごふご」
美凪「往人さん。私が作ってきた重箱がありますから」
往人「お、おせち料理か。って遠野、お前重箱を作ってきたのか?」
美凪「・・・えっへん。」
往人「マジかよ。」
美凪「でも、中身もちゃんと作ってきたんですよ。」
往人「おお、それそれ。それが欲しかったんだ。」
美凪「夕べ、思い出に浸りながら作ってたんですよ。私も今は少女だけど、そのうちおばさんになっちゃうのねって。」
往人「おセンチか・・」
美凪「トイレに行って食べてくださいね。」
往人「なんでやねん!」
美凪「せっちん料理。」
往人「食欲なくすようなこと言うなよ・・・」
美凪「あら、もう満腹?」
往人「そういう意味じゃない・・・」
みちる「ほう、国崎往人はもう満腹か。じゃあ、みちるが全部食べてあげるね♪」
ばくばくばくばく
往人「あーっ!こいつ全部喰いやがった」
みちる「ふにぃ。満腹だぜベイビー」
往人「お前はベビーだな。」
どかっ!
往人「うおおお!いてえ!今のはいってよお!」
美凪「・・・まあ、往人さんすごく嬉しそう。」
往人「嬉しくねえよ!」
美凪「やっぱりお正月だから?」
往人「関係ない!」
美凪「ということで、国崎さんのおめでたい顔撮ります。」
往人「めでたくないっちゅーに!」
ぱしゃり
みちる「にゃはは、ナイスショット」
美凪「えっへん。」
往人「ゴルフと違うだろ・・・」
美凪「ということで。今日のテーマは『日本の家族のお正月』でした。」
みちる「美凪美凪。」
美凪「なんですか?」
みちる「家族って言ってるけど。美凪、さっきから国崎往人しか撮ってないよ。」
美凪「まあ、そういえば・・・・」
美凪「・・でしたら。最後に、3人で一枚。」
往人「なんでそうなる。」
美凪「・・・いや?」
往人「別に嫌ではないが、とりあえず嫌だといっておこう。」
美凪「・・・がっかり。」
どかっ!
往人「オウ!痛え、今のも強烈に痛えよお!」
みちる「美凪をがっかりさせるなーっ!」
往人「わ、わかった。3人で撮る。撮ろう。な」
美凪「では。15秒後に行きます。」
往人「遠野立ち直りと準備早すぎ・・・」
美凪「ではみなさん、笑って」
往人「キムチ」
ぱしゃ
どかどかどかっ
みちる「なにがキムチだーっ!ふざけるなこのーっ」
往人「い、いていて、待て、韓国では写真を撮るときこう言うんだ、それにあちらではキムチは正月に欠かせない一品・・・」
美凪「まあ。二人とも、年が変わっても仲がいいのですね。」
ぱしゃぱしゃぱしゃぱしゃ
往人「一方的暴力反対!平和世界是幸福!日韓友好親善!金正日万歳!」
みちる「金正日は北朝鮮だー!」
美凪「ということで。本年もよろしくお願いします。」
往人「俺・・・今年もこんな役なのか・・・・」