美凪「みなさん。12月22日は私の誕生日なんですよ。」
観鈴「へえ」
美凪「これで私も、二十歳になりました。」
往人「そうかそうか。・・・ってまて、おまえ、去年まで女子高生じゃなかったか?計算あわないんじゃねえのか?」
美凪「・・・そんなことはありません。CLANNADのヒロイン古川渚さんも、二十歳だけど女子高生です。ごくごく普通です。」
往人「普通じゃねえと思うぞ。だいたい古川渚二十歳説って、荒野草途伸が一人で勝手に唱えてるだけだろ。」
美凪「それに。私と往人さんがアレしたのは、・・・去年の夏です。」
往人「だ、だから?」
観鈴「アレってなに?」
美凪「18歳未満がアレしちゃいけない事になってるんですよ?」
往人「へ、へえ。そうなんだ。」
観鈴「ねえ、アレってなにかな。」
美凪「・・・ま、いいです。もし私があのときアレしちゃっていたとしても、しょっ引かれるのは往人さんですから」
往人「わ、わかった。おまえは二十歳。立派な二十歳だ。」
観鈴「アレってなに」
美凪「・・・えっへん」
ハタチのミナギ
往人「そうは言ってもおまえ、本当に二十歳の自覚あるか?」
美凪「・・・失敬な。それくらいちゃんとあります。」
往人「たとえばどんな。」
美凪「たとえば・・・お酒はワインより日本酒がいいとか。」
観鈴「うん、二十歳未満は酒飲んじゃいけないしね。」
往人「って、なんか違わないかそれ」
美凪「何言ってるんです。未成年の飲酒は違法ですよ。と言うか飲ませたり売ったりした方が処罰されるんですよ。飲んでる方は少年法で保護されてるから関係ないかもしれないですけど、知らずに売った方はとんだとばっちり食うんですよ。わかってるんですか?そうやって他人の人生狂わせる生き方して、あなた満足ですか?未熟だからって許されると思ったら大間違いですよ。むしろ、未熟だって言うんなら、大人の社会にしゃしゃり出てきたりせずにおうちで勉強してなさい。何のために学生であることが許されていると思っているんですか。だいたい、教師に逆らってそれで権力に立ち向かっている気になってる時点で、世間知らずの証明なんです。今の日本の教師なんていうのは、戦無管理教育体制下で優秀な人間がどんどんはじき飛ばされて、社会性の欠如した腑抜けの集団になっているんですよ。それもわからない程度のおつむだから、理性も根性も無くなって夜の町で銃を撃ちまくりたくなるんですか。そんなに人間であるのがイヤなら、マントヒヒにでもなりなさい。さらに言えばですね」
観鈴「こ、これ誰に向かって言ってるのかな」
往人「そりゃあ・・・未成年に対してじゃないか? 間近にいる・・・」
観鈴「ここにいる未成年って、観鈴ちんだけ。が、がお・・・」
往人「しっかり聞いとけよ、未成年。」
美凪「・・・成年に達してるくせに未成年以下の人に言われたくないです。」
往人「な・・・・・・・!」
美凪「別に未成年の模範になれとは言いませんけど。でも人間社会で生きてくつもりなら、社会のルールくらいしっかり把握して守ってもらいたいものですね。それが嫌ならゴキブリにでもなってみんなに駆除される存在におなりなさい」
往人「・・・・・・・・・・。」
観鈴「あーあ。往人さん精神崩壊起こしちゃった。」
美凪「困った人ですね。いじめがいが無いじゃないですか。」
観鈴「い、いじめだったんだ・・・二十歳のする事じゃない気がする・・・」
美凪「・・・・。」
観鈴「あ、で、でもね、今のはあくまで観鈴ちんの意見であって、世の中一般の意見はそうじゃないかもしれないから、だから、もしかしたら気にすることじゃないかもしれないな、なんちゃって、にはは」
美凪「・・・いえ。今のあなたの意見、ごもっともです。」
観鈴「え?」
美凪「・・・私の目を覚まさせてくれたで賞。進呈。」
観鈴「あ、いつものお米券?」
美凪「・・・いえ。せっかく二十歳になったので、趣向を変えて」
観鈴「・・・選挙券・・・・?」
美凪「二十歳になれば誰でももらえます。日本国憲法、万歳。」
観鈴「そんな、わざわざ両手あげなくても。」
美凪「だって。選挙券がもらえれば、それはうれしいじゃないですか。あなたはうれしくないんですか?あ、まだ未成年でしたね。」
観鈴「で、でもね遠野さん。二十歳になったらもらえるのは選挙『権』であって、選挙の時に送られてくるあの葉書は選挙券じゃなくて単なる投票所入場券で、あれが無くても投票できないというわけじゃなくて」
美凪「・・・・・。」
観鈴「と、遠野さんならこれくらいのこと当然知ってるよね! 単なる冗談だったんだよね、ごめんね、観鈴ちんアホだから遠野さんの高級なギャグは理解できなくて」
美凪「いえ。私はもう二十歳、オトナですから。これくらいの侮辱で怒ったりはしません。」
観鈴「が、がお。侮辱とは受け取ってるんだ・・・」
美凪「で。もう他に、二十歳になったらできることって無いですか?」
観鈴「え? う、うーん・・・あとは民法上の無能力者が解除されるくらいかな・・・。それよりも、二十歳になったら出てくる義務とかあるんじゃない?国民年金とか。」
美凪「国民年金。ゼネラルおじさんですね。」
観鈴「ぜ、ゼネラルおじさんは那覇市国民年金課のCMには出てないと思うけど・・・と言うか沖縄県外の人にわからないネタはやめた方がいいんじゃ」
美凪「まあ、ゼネラルおじさんって全国区じゃないんですか? 金ちゃんヌードルが全国区じゃないと知ったとき並のショックです。」
往人「なにっ?! 金ちゃんヌードル!」
観鈴「わ、往人さんいきなり復活してる。」
往人「金ちゃんヌードルは俺の青春の象徴だ。よこせえ!」
観鈴「あ、あばれだしてるよ。どうしよ、どうしよ」
美凪「まあ、なんて大人げない。私はこういう人にはなりたくないですね。」
観鈴「そ、そんな落ち着いてる場合じゃないって。わあっ、武田商店向かってる、このままじゃ往人さん略奪犯になっちゃう!」
美凪「はあ、なんて落ち着きのない人たちなんでしょう。せっかくの私の記念日だと言うのに。これからの人生が思いやられますわ・・・」
往人「ちくしょー、何が誕生日だー!俺なんか、誕生日無いんだぞ!覚えてないんだぞ、知らされてないんだぞ、設定されて無いんだぞお!」
美凪「・・・じゃ、そういうことで。」
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