観鈴「ふう、暑い暑い。暑いからじゅーす飲もーっと。」

ここは平和な瀬戸内の町

観鈴「あれ・・?うちにこんな冷蔵庫、あったかな。」

そんな平和な町も、些細なことから騒々しい事件の町になってしまう

観鈴「うーん、いいや。考えてもわからないし。それより、何か珍しいものでも入ってないかな。開けちゃえっ」

そう、封印の扉が開かれたそのときから・・・
 
 

カードキャプチャーみすず

 
 

晴子「開けたらあかあぁん!」

観鈴「はっ、お母さん?!でももう開けちゃった・・・え?」

どきゃーーん

観鈴「わ、わ、冷蔵庫の中から光が!なに、なにが起こったの!」

晴子「あ、あああああ、開けてもうた・・・」

観鈴「あ、光もう収まってる・・。大丈夫、もう光出てないよ、お母さん・・・あれ、お母さん?」

観鈴ちんが振り返っても、そこには晴子さんの姿はありませんでした。

観鈴「が、がお、お母さんいなくなっちゃった・・・」

そのとき。下にうずくまっていたピンク色の毛玉が飛んできて、観鈴ちんの頭をこづきました。

観鈴「イタイ・・」

晴子「がおって言うないうてあったやろ!」

観鈴「え?そ、その声は、もしかしてお母さん?」

晴子「当たり前や。若くて美人な晴子ママに決まってるやないか。」

観鈴「でも今は毛玉・・どうしてそんな姿になっちゃったの?」

晴子「あんたがその冷蔵庫開けたりしたからやっ!ええか、その冷蔵庫はな」

どたどたどた

晴子「ん?誰か家に無断ではいってきとるな。」

美凪「確かにっ!確かにこの辺で気配が!」

駆け込んできたのは、どうやら遠野さんちの美凪さんだったようです。

美凪「はっ!オウ、アウチ!すでに開けられてしまった後デシター!」

観鈴「と、遠野さん・・・どうしたの?」

美凪「ワタシハー。『封印の冷蔵庫』を探しに、はるばるシンガポオルから飛んできたのデース。でも一足遅かったようデ−ス。封印はすでに解かれてしまってイマシター。」

観鈴「そ、そうなんだ。ところで封印の冷蔵庫ってなに?それと、何でそんなヘンなしゃべり方なの?」

美凪「封印の冷蔵庫というのハー。遠い遠い昔に二宮尊徳が平賀源内に依頼して作らせたマ術冷蔵庫なのデース。でも平賀源内はその冷蔵庫を持ってオランダに高飛びー。現地でルーマニア人の女性と結婚しましたー。でもその後の生活は苦労続きー。おかげで彼ハー、『サー・苦労』と呼ばれるようになりましたー。私はそのサー・苦労ノー、38代目の孫に当たるのデース。」

観鈴「そ、そうなんだ。」

晴子「どうでもええけど、二宮尊徳と平賀源内は生きてた時代ちゃうで。」

美凪「オウ!あなたはもしや、フーテンの魔獣へべれけろす!」

晴子「『封印の魔獣ケルベロス』や!勝手に言葉変えるな!」

観鈴「でも、ぴったり。」

晴子「なんやてえ!」

「おーい、町でなんか変なものが暴れてるぞお!」

晴子「まずい!きっと、冷蔵庫から飛び出したカードが悪さしとるんや!はよ行って止めないと、えらいことになるで!」

観鈴「うん、わかった。行ってらっしゃい。」

晴子「あんたがやるんや!」

観鈴「が、がお。でも観鈴ちん、やり方わかんない。」

晴子「それは大丈夫や。ウチがしっかりサポートしたるさかい。」

観鈴「それに、止めてるとこ町の人に見られて、観鈴ちんの所為だってバレたら困る・・・」

敬介「はっはっは、それは大丈夫さ。僕がちゃんと、変装用の衣装を用意してきたからな。」

観鈴「だ、誰?」

晴子「ただのヘンタイや。気にすることあらへん。」

敬介「はっはっは、晴子は相変わらずきっついなあ。僕の名前は橘敬介、観鈴ちゃんのラブリーでハッピーなパパさ。」

観鈴「が、がお。こんなパパいらない・・・」

敬介「はっはっは、すぐに慣れるさ。そんなことより、早く着替えて観鈴ちゃんの華麗な活躍を魅せておくれ。ほら、撮影用のカメラだって買ってきてあるんだから。ほおら、レッツらごー!」

晴子「ところで、何であんたはウチが晴子って一発でわかったんや。」

敬介「こんな恥ずかしい毛玉のコスプレするのなんて、晴子以外いないからね。」

晴子「・・・刺し殺したろか。」
 
 
 
 
 

そして一行は、町に出てきました。
町では、カードから現れた精霊がすでに大暴れ。

精霊「あんぎゃーっ!」

往人「うおおお、摂氏300度の油があっ!」

晴子「ははーん。あれは、『フライ』のカードやな。」

美凪「・・・天麩羅とも唐揚げとも違うんですね。」

晴子「あんたなに素に戻っとんねん。」

美凪「いけませんか?」

敬介「そんなことより、町が大変だ。さあ観鈴ちゃん、出番だ!」

観鈴「が、がお、でもこの服装じゃ、私だって事バレバレ・・・・」

晴子「そやなあ。いつもの観鈴ちゃんとは違うと思うけど、観鈴ちゃんやって事はバレバレやなあ。」

敬介「はっはっは、観鈴ちゃんのかわいさ元気さを最大限にまで引き出すことに主眼をおいた衣装だからね。バレバレでないと困る。」

観鈴「が、がお、変装のための服だったんじゃ?」

敬介「なんのことかなあ、パパわからないよ、はっはっは」

観鈴「それにこの服恥ずかしい・・・こんな服着てるとこ見られたら、ますます友達できなくなっちゃう・・・」

晴子「じゃあせめて、名前くらいは変えような。」

美凪「あまり意味が無い気が。」

晴子「よっしゃ、今日からあんたは、『カードキャプチャーみすず』や!」

観鈴「が、がお。結局バレバレ・・・」

晴子「そうときまったら、はよ行けえ!」

観鈴「が、がお!でもどうやってやるの?」

晴子「根性や!」

観鈴「むちゃくちゃ〜」
 
 
 

そして、なんとか魔獣をカードに戻すことに成功しました。

美凪「・・戦闘シーンは省略ですか?」

晴子「戦闘シーンをだらだら描かれるのは嫌いなんや。」

敬介「原稿の水増しとしか思えないからね。」

美凪「・・・なんの話ですか?」

晴子「さて観鈴ちゃん。カードを元に戻しただけでは、まだ終わりやあらへんで。」

観鈴「うん、わかってる。カードに自分の名前書かなきゃいけないんだよね?」

晴子「あほ、名前なんか書いてどうする!」

観鈴「が、がお?!」

晴子「写すんや。描き写して、自分のものにせんと意味無いやろ!」

観鈴「え、で、でも」

晴子「でもやあらへん!あんたはカードキャプチャーやろ!」

観鈴「が、がおがお?!」

晴子「ええか。最初は誰だって、へたくそなんや。自分の描きたいものなんか描けへんものなんや。だからみんな、マネするんや。描き写して自分とこ持ってきて、それを土台に自分の作品作っていくものなんや!」

観鈴「な、なに言ってるかわからない・・・」

晴子「今はわからんでもええ。とにかく言われたとおりにするんや。はよせんと、カード消えてまうで。いつまでも保つものや無いんや!」

観鈴「がおがお〜」
 
 
 

美凪「あ、カード消えてしまいました。」

観鈴「大丈夫っ、今描き終わったから。」

晴子「どれどれ? ああん、なんやこれ。」

美凪「・・・まあ。前衛芸術?」

観鈴「にはは、褒められちゃった。」

晴子「褒めとらんわ、このアホちん!これのどこがフライのカードや。こんなへたくそなカード、使い物にならへんで。」

観鈴「が、がお・・・」

敬介「はっはっは、使えるかどうかは、やってみないとわからないよ。」

美凪「まあ、確かにその通りですわ。」

観鈴「にはは、じゃあ試してみるね。えーと、」

晴子「こう言うんや。『苦労の末に作られたカードよ、汝との契約の元観鈴が命ずる。ぶりーふっ!』」

美凪「往人さんはトランクス派だと思います・・・」

観鈴「えっと・・・我は誘う光の白刃!」

晴子「観鈴ちゃん、セリフ全然違う!」

ずぎゃーん

美凪「まあ、でも何か飛び出しました。」

往人「うおおっ、俺の体を出力1000Wのマイクロウェーブがあ!」

美凪「レンジでチンの原理ですね。」

敬介「最近の冷凍フライは、レンジで温めるだけで食べれるからね。」

晴子「あっかーん!そんな、油で揚げてない生ぬるい衣の固まりを、フライとは言わあん!」

観鈴「あ、往人さんが変身してる・・・」

往人「♪ぶんぶんぶーん、ハエが飛ぶ〜♪」

敬介「はっはっは、こっちのフライだったようだね。」

観鈴「にはは、大成功」

晴子「ちゃ、ちゃう・・・こんなん違う・・認めんで、ウチはこんなん、絶対認めへんで・・・」
 

こうしてカードキャプチャーみすずの最初の活躍は、大成功のうちに終わりました。
 このあとも観鈴ちゃんの活躍は、「みすずとドキドキ廃品回収」「みすずのハッピー終戦記念日」などと続くのですが、それはまたの機会と言うことで。

 それでは次回も。観鈴と一緒に、ぶりーふっ!
 

往人「ところで俺、何でこんな端役扱いなの?ゆきとさんなのに・・・」
 
 
 
 

おしまい
 

2001年7月6日執筆
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